Feb 26, 2005
逝く夏(1996.8.13)
街が死んだとしよう
その骨の構造体のなかで
生き物がうごめいているとしよう
夕日は西に黄色絵の具を溶かして
生き物は見下ろしている
街の血は地面に染みてしまった
一人の釣り人も
歌う少女も
この書き割りにはいない
千代紙に染みる墨文字そらの母
なんて
耽って
いっぱい悪いことをしたくなる
いっぱい
写経する
耳なし僧に猥画とか
火照ったものがなにもないとすると
街が死んだとしよう
夏の旅の色合いが
細かい格子縞の
水路になって僕の手のひらに濯ぐ
濯ぐその水
の街が
無音になるとしよう
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