Feb 26, 2005
異本(1998.9.22)
蜻蛉の翅が
塔につづく脈をもつことを
確かめる
豆のさやが
4個の粒をざるに落とす
翅の脈が夕景と二重写しになって
虫の装飾の森を
つくり出す
豆のさやが
一つの黒い粒を含んでいる
それはお話というものだ
4粒の豆はざるに
いい肌でころんと落ち
それはそれで鍋を待つ
もうひとつのサヤから出た豆は
塔につづく脈をたどり
異本への記載が長くつづく
涸れた泉に
沢蟹のむくろが
半分埋まっているところに
黒い豆はたぶん
行くのだと思う
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