Feb 26, 2005

マック(1997.11.25)


「お腹痛いわけがわかったわ」
「え、どうして」
「マックでのバイトのせい」
はははは
と女子高生は笑う
「血液調べたら脂の変わった成分があったの」
「薬、きついのになっちゃった」
ははははは
「おとといチキンナゲット
いっぱい食べたからね」
はははは

僕は茶髪を見下ろしている
右前方には少女メイクしている女の子
僕は前に少し傾き集中して考えていることがある
集中して言葉を頭で反芻している
耳には彼女らの声が
もうひとつの空間を作っている
そうだ
僕はある文章の一節を繰り返し繰り返し
集中して思い出している
女の子の声が耳に入るのは
でも
苦痛ではない
頭に何度も同じ文章を書いては
消す

「はははは」
僕はほとんど自動人形のように駅に降りる
雑踏のなかへ

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