Apr 19, 2023

メルティの夢の部屋

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ヴィヴィアンに体を小さくしてもらったメルティは、
マンスフィールドさんから貰った
クノップフの絵「スフィンクスの愛撫」を、
夢の部屋に運び込もうとしていた。


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テキサスレンジャーも手伝っている。


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随分苦労していたみたいだが、
絵は魔法で小さくしてやらなかったのかい?
とハリーが訊いている。
ええ、大きいままの方が迫力あるでしょう。
とヴィヴィアンが言った。


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部屋に戻って、
絵を壁に飾り終えたメルティたちは、
くつろいでお茶を飲んでいる。

気に入った?
いい絵でしょう。
ふむ。しかし、この絵は
メルティが心の中で思い浮かべたものではなくて、
向こうの世界から持ち込んだものだろう。
それはちょっと問題があるんじゃないか。
そうなの?
私すごく気に入ったの。


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この絵に描かれたスフィンクスは、
やっぱり夢食いなの?
シュレディンガーさんの分身なの?
それとも身内か何かなの?


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ふむ。制作者の想像力が生んだもので、
同じ夢食いという訳じゃない。
もちろん夢食いとは全てそういうものだと
いう言い方もできるけれど、
それは捉え方の違いなんだよ。


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私と似た姿をした幻獣は、
中世の西欧では、マンティコアと呼ばれていた。
インドに棲息していて、体は赤毛のライオンで、
蠍に似た尾を持っていたと言われる。


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私がそうであるように、
夢食いは夢の世界に実在するんだよ。
でも、その姿を夢で見たものは、
目が覚めて、自分が想像したものだと思うこともある。
昼間に装飾写本か何かで、こんな絵を見て、
それが影響したんじゃないかとかね。
そういうこともあるけれど、
それは本物の夢食いじゃないんだ。

おや、君の後ろに
本物の夢食いが現れたようだよ。


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メルティの後ろに、
奇妙な人形風の男が浮遊しながら近づいてきた。



解説)
謎の展開です。

マンティコアの画像は
ヨハネス・ヨンストン「動物図譜」(1650)
の銅版画です。
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