Jul 30, 2022
マーリンに会う
イリヤと後でまた会う約束をして
喫茶ペンギンを出たゼロは、
休憩スペースにやってきた。
マーリンさん、
お待たせしました。
ご依頼の品をお持ちしました。
ここは見晴らしがいいですね。
うむ。シャボン玉がよく似合う場所だ。
面倒なことを頼んで悪かったね。
いえいえ、こういうのは得意ですから。
しかし、ドイツ軍のフィギアなんて、
ヴァンパイアの過激派と関係があるんですか。
君も事情を知ってると思うが、
私はあの過激派組織のボスじゃないんだよ。
ただ彼らから再三、ボスになって欲しいと
頼まれているのが実情なんだ。
君もそうだろうが、彼らには同情してるからね。
ボスはお断りだが、できれば力を貸してやりたいと思い、
彼らの望むようなボスを作ってやることにした。
魔法でそんなことができるんですか。
ふむ。精霊の宿るフィギアを実体化すればいいんだ。
だが、どんなフィギアでもいいと言うわけじゃない。
それで、さるフィギアの愛好家の集まりに出かけて、
それに相応しいフィギアを見つけておいたのさ。
なるほど。
そんな時に、やはり過激派組織から
助っ人を依頼された私が現れたと言うことですか。
そういうことだ。君は有名な怪盗だと聞いていたので、
フィギアを盗み出すのは適任だと思ったわけだ。
さてどんなものか見せてもらおうか。
ゼロは鞄を開けてみせた。
ふむ。そうそう、このフィギアで間違いはない。
しかし、頼んだのは一体だけの筈だったが。
あ、もう一つの方は、なんだか
気になってしまって、一緒に盗んできたんです。
僕は仕事柄こういうものは見慣れていて、
いい出来のものには、自然と勘が働くんです。
これはオリジナルの逸品ですよ。
なるほど、といいながら、
マーリンはフィギアを手に取った。
いや、これは。
これは出来のいいフィギア
どころのものじゃないぞ。
深い想念から生まれた精霊が宿っている。
そう言うと、
マーリンは杖を振りかざした。
薄い煙が立ち上ると、
フィギアが消えてエルマが現れた。
うーん。
ここはどこかしら?
とエルマは言った。
そこに、切れた石鹸液を作りに
家に戻っていたサラが
再度、引き返してきた。
あーよかった。
マーリンさん、まだいた。
それに、あなたエルマさんでしょ。
コスプレしてるの?
サラはさっそくシャボン玉を吹いている。
みんなちょっと場違いな展開に
驚いている。
解説)
なんとなく二人の立場が
わかってきました。
WriteBacks
http://haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20220730203154.trackback
writeback message: Ready to post a comment.