Jul 31, 2022

エルマの去就

a1

休憩スペースでは、
予想外のややこしさで
事態が進展していた。


a2

エルマは、サラから
あれこれ説明を受けていた。

だとすると、ここは、
ジョー軍曹やリリスが言っていた
扉の向こう側の世界。
モモコやアイスやエトナの暮らす世界なのね。
私の原型になった人もいるって、聞いて、
いつか行ってみたいって思ってたのよ。
とエルマは言った。
この人本当にコスプレじゃなかったんだ。
とサラは思っている。


a3

今の魔法すごかったですね。
ふむ。この精霊の由来や記憶を探ってみたところ、
どうやらジルという人物の深い想念から生まれ、
ジャンという人物や住民たちの集合的な想念が、
特異な土地の力と融合されて生み出された
異世界に実体化して暮らしていたようだ。
その異世界は、こちらの世界と倉庫でつながっていて。

そういえば、あの倉庫の壁には、
微妙に宙空に浮かんでいるような、
どうやっても開けられない奇妙な扉がありました。
とゼロが言った。


a4

ふむ。それは魔法の鍵でないと開かないよ。
それで、どうする?
このフィギアの精霊は、もともと
君が自分の意志で盗みだしたフィギアのものだ。
お望みなら元に戻して差し上げるが。
とマーリンはいった。


a5

エルマは無邪気にシャボン玉を吹いている。
上手上手。


a6

その様子を見ながら、
しばらく考えていたゼロは、
どうやらとんでもないものを盗んでしまったようだ。
これまで人さらいは自分で禁じていたんだけど。
と呟くように言って、
マーリンさんに元のフィギアに戻してもらって、
倉庫に返しに行けばいいのかもしれないけど、
こちらの世界にこられたことを喜んでるみたいだし、
君、帰りたくなったら自分で倉庫に戻れるよね。
とエルマに問いかけた。
郊外のジャンさんの家の倉庫までなら
私が案内するわ。
とサラが言った。


a7

じゃ、そういうことでお願いします。
マーリンさん、僕の気まぐれのせいで
お手間を取らせましたが、
おかげですごい魔法を見せてもらえました。
いや、こちらこそありがとう。
とマーリンは言った。

とりあえずお約束は果たせましたし。
僕はこれで。
と言ってゼロは去っていった。


a8

やがてサラも、シャボン玉セットを
マリーンに手渡して、
エルマを誘って、家に帰って行った。


a9

誰もいなくなった休憩スペースで、
マーリンがベンチに座っていると、
ベーカリー前の水やりを済ませたルルが戻ってきた。

シャボン玉吹かれてたんですか。
君も吹いてみる?
と言っている。


解説)
めでたくシャボン玉液を
使い切りました。
Posted at 21:15 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
WriteBacks
TrackBack ping me at
http://haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20220731211501.trackback
Post a comment

writeback message: Ready to post a comment.