May 09, 2021
遭遇 そのに
生き物はモモコの様子を
伺っているようだった。
やがて、どこか
悲しげな声をあげた。
口の奥からとびだした、
もうひとつの口から、
長い舌をだして
なんとモモコの足の傷口を
舐め始めた。
一瞬頭がしびれた気がしたが、
やがて足の傷や痛みがすっかり消えているのに気づいた。
不思議な想念がモモコの
心に伝わってくる。
モモコはこの生き物が、
自分のことを、卵の殻をつついて割った
母親だと勘違いしているらしいこと、
まったく警戒心や敵愾心のない、
甘えるような感情が伝わってくるのを
感じた。
これをテレパシーというのだろうか。
モモコが自分は母親じゃないのに、と思うと、
生き物も理解したようだった。
モモコはそっと生き物にさわってみた。
傷を治してくれてありがとう。
きみをエリコと名付けよう。
とモモコは言った。
エリコはうれしそうに
頷いている。
さてこれからビバーク地点に戻らなきゃ。
さっき、夢中で走って逃げたから、
方向がさっぱりわからない。
わたし覚えてるよ。
という想念が伝わってきた。
解説)
今回は、人(ではないですが)は、
みかけによらないというお話でした(^_^)。
ホビーオフで見つけた
エイリアンのフィギアを使用したので、
エリコと名づけました。
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