クリスマスの夜
彼女は彼とデートをしない
サンタクロースもどきの 赤い服に身を包み
別な恋人達の エスコートをする
漆黒の中のイルミネーション 点滅する灯り
えんえんと続く きらびやかな道
彼女は 商業用の作り笑顔で
小さな子供をつれた 家族連れを案内する
大きな屋外舞台では
クリスマスソングがはじまり
ゴスペルの合唱が たくさんの耳から耳へと
聖夜の星空へ響きわたる
恋人にクリスマスプレゼントなんて
一度も もらったことないね
そういうお付き合いは したことがないから
でも クリスマスの夜だけの
ひと夜限りのお付き合いも
この頃は あり の時代だよ
ネオンに彩られた観覧車には
待つひとの長いながい列
今夜 恋人達は
いくつ 本物のキスをするのだろう
そっと耳打ちする ひとりの男の声
クリスマスプレゼントがもらえるなら 何がほしい?
振り返れば誰もいない
耳元で呟いて 風のように去っていったのは だぁれ?
(2004.6.1 広島県詩集 2004年版 第24集 所収作品)
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