もぐらの地下道を辿るように
ネットの迷路に潜入する
どこからともなく姿をあらわす
顔もない 声もない 姿もない登場者
舞台はネット
心を披露する午後六時
大気に漂う煌きとなり
答えてくれる 文字 を求めて
誰が見てくれるんだろう
何を感じてくれるんだろう
画面の向こう側の
無数の顔
何かを感じてくれれば
たとえば 温かさ とか
共感してくれる思い とか
うんうん あるある とうなずきながら
テレパシーになって
深い森のひかりの道を突き抜けて
届いてほしい
もうひとつの顔たちへ
応接間におかれたパソコン
とりつかれたように
動く指先から
わたしの心を注入する
午前零時 ネットから去る
跡形も残らないように 全消去
シンデレラ姫じゃないから
ガラスの靴も残さない
(2004.3.31 mini ・ fumi VOL..16 所収作品)
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