深海を突き進んでゆく
泳げもしないのに
さかなになって
ヘッドライトひとつを頼りに
右には
とてつもなく大きな神社の鳥居が
鬱蒼とした 黒い林の中に
無言のまま 生きづいている
左手にはやがて
ファッションホテル
ネオンが眩しい チカチカと
邪まな愛が今日も繁殖する
再び 右手に竹林
風もないのに
ザワザワ
と さざめく
T 字の道路に
辿りつく
右に曲がるべきか
まっすぐに行くべきか
その
どちらへも
行きたいんだけど
再び さかなになって
( 2003, 7, 20 詩と創造 44 夏季号
研究作品 選者; 今辻和典 )
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