Oct 22, 2006
秋の駅か駅の秋か
昨日67回余白句会で、天を取ったのは井川さんの梨剥けば隣の庭に鳥が居る 騒々子
で、わたくしもこの句を天にいただいたので、負けても文句はなし。もっとも私が入れなかったら、10-3 で、7点獲得で地の2ランキングの拙句と並んで、地だったかも知れないが。大体、敵に塩を送る謙信型人のよさが出世の妨げになっている私である。
さて、井川句と天を争う健闘振りを発揮したのが拙句
父母を置忘れたり駅の秋 かおる
で、小長谷清実、辻憲 両氏から天をいただいた。辻憲評いわく、余情と透明感あり、さらに柄が大きい。小津映画の世界に遊ぶ心地せり。と、そこで議論になったのが、下5句の「駅の秋」で、「秋の駅」ではないことで格が上ったという評価だった。この逆転発想には秘密があって、「街」句会に参加し始めてちょうど1年。またゼロから始めて有働さんえらい、とふだん憲ちゃんがほめてくれていたので、その憲ちゃんが実地で援護射撃してくれたことに感激した。でもね、「秋の駅」が「駅の秋」になるまでにたっぷり1年もかかるなんて、日本語ってやっぱりむずかしいよね。 井川さんの天句は、日常平凡中の俳味。俳句に飽きたひとの美意識であるとの評に私もまったく賛成。地の1は、小長谷さんの
流星や通夜の帰りの大くさめ 裏長屋
は、8点で、私も人にとっているし、難しい漢字を使ってみたかった、といういつもながらに人を食った小長谷さんである。
難漢字嫌いなパソコン大クシャミ かおる
Oct 19, 2006
空色のヴィッツ
の助手席に乗って、お昼をお呼ばれに。という、ちょっと夢見心地の昼を過ごしたのは火曜日のこと。降りる時、ふとみるとVitsとあるので、ああ、このクルマ、宮沢理恵ちゃんがヴィーサインしてるやつね!ということだった。オーナーが華奢な女性なのでぴったり。ご本人も、これにしてから、とってもよくなったわ!と満足そう。内装はオールブラックで、そとがわは、マットなブルーで、落ち着きがある。いい車だな、と、オリーブグリーンの錆びたロードスター以来、クルマを意識した。オーナーはたぶん70代に入られていると思う。私は早々に運転を諦めているので、済みませんと、乗せてもらうだけ。少し暑いぐらいの秋のお天気。この4,5日、頭の芯がずきずきしているし、パリ在住の友人からは、アパルトマンの1階が火事に遭って、廃墟のようだと、侘しいニュースも入っており、何となく空虚な翳のある明るい静かさのなかに居る。Oct 14, 2006
冷たい空気
町田市街の歯医者に行く前に郵便局に立ち寄ったら、歯医者の予約時間に20分も間があるとはいえ、26人待ち。ああ、今日は金曜日なんだと気がついた。3時の診療予約時間を15分も過ぎてようやく、請求の来ていた会の年会費を払い込むことが出来た。歯医者の先生は腕は申し分ないが、学校医もしていて、時間にひどくうるさくて、どうして遅れたの、と説明を求められることがたびたびあって、かなりのプレッシャーになっている。診療側からすれば、気軽にルーズにされたのでは、真剣に治療を目指す側にはたまったものではないのは、よく分かることだから、なにも不満はないのだけれど。受付にいくども携帯を入れたけどつながらなくて、と言い訳をした。 歯科医院を出た時はいつも開放感がある。空の高いところに鱗雲があって、まだ建物で両側が埋まりきっていない開発道路に沿って見えなくなるまで薄まりながら遠くまで続いている。空は完全に秋。でも粘っこく蒸し暑い。長袖をまくり上げて、だるさを感じながら街を歩いた。夜、窓をあけていると、冷たい空気がどっと入ってきた。ああ、空気の流れが変わったな。と、ようやく秋の空気を吸う喜びが滲んでくる。まだ開かない小菊や、蟷螂の子も、ほっとしているに違いない。