Apr 10, 2008
青い夜道
友人の展覧会に行った。全国各地からの会員の方々の作品で、すごい熱気だった。
区切られた部屋を歩いていく。ある場所でパッと目に飛び込んできた一枚があった。「これだ」と思ったらやはりそこに彼女の名前があった。
全体にブルーの抽象画。何号というのかわからないが大作。華奢で可愛らしい彼女、主婦で、二人の子供の母親であり、十代からのともだちの彼女がこういう作品に取り組み仕上げて出品している、ということにまず感動した。
「すごいなー」と、しばらくそこに立ち続けた。
その友人から「調べてほしい事があるの」と相談を受けた。
彼女の知り合いで病床にある方が以前「静物」という詩に触発されて絵を描いた事があるがその詩の作者と全容が思い出せない、という事だった。田中冬二か村野四郎かもしれない、という言葉を受けて早速、手持ちの詩集を繰ってみた、、、が、ない。。
ネットで検索してみると吉岡実の作品が出てきたので印刷してFAXしてみたが、違っていた。。
困って、図書館で仕事をしている知人に助けを求めた。朔太郎に「静物」という詩がある、と調べてくれたのですぐに自分の詩集を探すと確かにある。「これかも?」とまたFAXする、が、ハズレ。。
最終的には田中冬二の初期詩集「青い夜道」に入っている「さびしき静物」である、ということにたどり着いた。。
「青い夜道」
いっぱいの星だ
くらい夜みちは
星雲の中へでもはひりさうだ
とほい村は
青いあられ酒を あびてゐる
ぼむ ぼうむ ぼむ・・・・・・
と始まるこの詩はよく知られている。でも、「夜あそびからかへるわたしを いつも ひややかにまつ 」と始まるこの「さびしき静物」という詩にははじめて出会った。そもそも田中冬二の詩集をこんなに読んだことがなかった。ともだちのおかげで勉強することができた。
「青い夜道」か、、、と思いながらわたしはふと、彼女の描いた青い大きな絵を思い出している。偶然とは言い切れない何か、。抽象画に重ねられた青とそこから派生する色彩にやさしい白が微妙に混じっていた。 微量の白が紫のようなピンクのような温もりを連れてきているのが印象的だった。
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