Jan 19, 2008

少年たち

年末から新年にかけて一番の収穫は川上弘美さんだった。「蛇を踏む」があまりピンとこなかったので、そのあとずっと読まないできた。同じような印象をもっていた友人が「センセイの鞄」で彼女の面白さを発見した、と教えてくれたのにまだ読んでいなかった。 
「光ってみえるもの、あれは」の書評を新聞で読んで興味をもち、文庫化されたので購入。間違いなく、お気に入りの一冊となった。時々、引用される詩や俳句などに作家の瑞々しい感性と知識が伺えるし、文体は驚くほど巧みだった。「沛然と雨が降る」これはある重要なシーンで主人公の心理描写としてつかわれていてた。すごいなーと思った表現のひとつ。
街に出て行く鮭の挿話は、お馴染みのレイモンド・カーヴァー。中也の詩も何気なくでてきて、ふわっと嬉しくなる。

「光ってみえるもの、あれは」は二人の少年の話だ。いま読み始めている村田喜代子さんの短編集の最初も少年たちが主役なので、イメージが混同する。


わたしが少女だった頃、やはり多感な少年たちの仲間に入れてもらっていた。「学生通信」という小冊子に詩を投稿していて知り合った二人の少年とわたしの三人で同人誌をだしたこともあった。
それはまだちゃんと手元にあり『焦土』という。まとめていた彼が印刷し発行してくれた。そこで自分たち3人のグループ名を考えようということになった。
「焦土の会・・・?」「それじゃ、まるで放火集団みたいだ」と言っては笑ったのを楽しく覚えている。
名前はそのまま「焦土文学会」とカッコよく決めたが同人誌はあまり出さずに解散となった。かつての少年少女は遠く離れて暮らしながら今でも近況を報告しあっている。
Posted at 14:20 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
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