Sep 27, 2007
回復の見込み
「回復の見込みはありません」と、告げるとき、きっと医者もつらいのだと思う。
聞くほうは必死な表情をしているに違いない。
すがるような視線は痛いだろうと思う。
そして、もう何も言うべきことがなくなり、
「それでは、、、」と言って医者(助手もいる偉い先生だ)が、
部屋を出て行くとわたしたちに大きな沈黙が訪れる。
わたしは誰の顔も見られなかった。
もちろん、泣き出すこともなく、
持ち帰る娘の洗濯物をまとめ始めた。
「お母さん、だいじょうぶ?」と彼女が言った。
なぜ?
どうして彼女はこんなにも穏やかでやさしいのだろう。
どうして、こういうときに真っ先に口を開き、
わたしを気遣うことができるのだろう。
事故による顔面のダメージは、
予測や楽観的希望を打ち砕くものだった。
「わたしはだいじょうぶよ」といって微笑みを見せるのが精一杯。
片目の視力を失うということがどういうことか、
わたしにはまだわからない。
書くこと、読むことが大好きな、姉妹のような彼女が、
その事実とどうやって折り合いをつけていくのか、
いまは見守るしかないのかもしれない。
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