Feb 13, 2025

ホテルに戻る

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渓流で水浴びをして体が冷えたら、
ここに浸かるといいかもしれませんよ。
ラジウムでも使いますか?
私は足湯でいいわ。
近くに宿泊施設を建てて、
ホテルの別館にしましょうか。
などと言っている。


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そこに好奇心旺盛の猿たちがやってきた。
ダックはさっそくピピを抱えて
防御姿勢になっている。

アイスが何か話しかけている。


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猿たちはそそくさと去っていった。

何話してたの?
ここにはグリーンマンが来るわよ。
って言っただけ。

グリーンマンってなんですか?
とダックが言った。
このあたりのジャングルの
守護神みたいなものかしら。
本当に来ちゃうと、
彼に覗き見されるわね。


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やがて一行はジャングルを抜けて、
ホテル裏の広場に戻ってきた。

もう夕暮れね。


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ホテルの前では、
ちょうど集落での美術品鑑賞を済ませて
ホテルに戻ってきたフラハとエレナに出会った。

どうだった?
すごく楽しかったわ。
なんだかお腹すいちゃった。


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ホテルの食堂で
夕食を摂ることになった。
エレナを案内してくれたフラハも
招待されている。

集落の人はホテル利用しないのね。
できたばかりだし、
ホテルがあることも知らないんじゃないかな。
集落の外れのジャングルの中だし。
それに知っても利用しないと思うよ。
まだまだ魔法生物たちの見かけに偏見もあるし。

僕らにとっては好都合ですね。
そういうことも見越して
リザードたちがホテルの利用を考えたのよ。


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別のテーブルでは、
ハリー夫妻とマリアが、
ノヴァと夕食を摂っていた。
こちらの話題はもっぱら魔族のことのようだ。

ハリーさん。あなたは魔術劇場という建物を、
世界各国の都市に出没させて、
世界中を巡回していたそうですね。

何百年続けたかかな。数年前までのことだけどね。
今や私たち魔族は絶滅危惧種で、
魔術や魔法そのものの存在も迷信にされている。
世界に散り散りになっている仲間を探すためや、
ちょっとした啓蒙を兼ねて始めたことだよ。
一応表向きの私の職業は
超常現象の研究家ということでね。
でも数年前から、今の場所に落ちついているんだ。

心境の変化ですか?
町の近くに「迷いの森」と呼ばれている場所がある。
今では立ち入り禁止になっているのだが、
そこが我々魔族の発祥の地だという言い伝えがある。
近くに住んでみて、とても懐かしさを感じたのだよ。
もっとも君たちの話によるとその場所は。

管理局の本部がある場所で、異空間なんですよ。
面白いな。魔族もそこから来たという伝承があるんですね。


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夕食を済ませ、アイスは部屋に戻ってきた。

今日はいろんなことがあった。
町に来ていたピピとダックがホテルに戻るのを手伝い、
ホテルに来ていたエレナを町に案内してたまきに再会させ、
またアフリカに戻ったと思ったら、ノヴァたちについて、
宇宙ステーションに行って、艦長に仲介役を頼まれて、
帰ってきたらピピたちが温泉を作っていた。
今日だけで、何人の宇宙人と知り合ったのかしら。


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明日は何があるのやら。

それは誰にもわからない、
と誰かが言ったような気がした。



解説)
続きます。
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