Sep 07, 2023
仮想世界再訪 そのに
このカブトムシ型ロボット修理したんですね。
黒いのはジョン、赤いのはポールって名付けたの。
人工知能も改良したので、すごく役立ってくれている。
うす。うす。と二匹は挨拶した。
二匹はちょっとドロレスを怖がっているようだ。
灌木の茂みで作業していたミトラが言った。
やあ、おかえり。
っていうのは変かな。
またこっちの世界に来てくれたんだね。
ツナを探してるんだったら、
ここから少し北に歩いた先にいるよ。
森がそこまで迫っているんだ。
二人が、あちこちに灌木の生えた
草原を踏み分けて、しばらく歩いて行くと、
ツナたちの姿を見つけた。
舞子は夢中で昆虫と会話をしている。
ビッグヘッドがダーダと声をあげたので、
気がついたツナが振り返った。
あら。やっぱり。
再会できて嬉しいわ。
見ての通り、森がどんどん拡張してるの。
今のところは、瓦礫の荒野に豊かな緑が戻り、
生活にも変化があって楽しいけど、
この調子だと、そのうちにバーボンハウスも
森に飲み込まれちゃうかもしれない。
今の所わかってるのは、
森の拡張が南に向かっているっていうこと。
東や西のエリアへの進展速度はそうでもない。
なんか森全体がアメーバのように
こっちに向かって動いてくる感じね。
虫たちに聞いてみても収穫はゼロ。
虫たちはただ新天地に移り住んでるだけで、
何かにコントロールされてるわけじゃないみたい。
と舞子が言った。
一同は一旦バーボンハウスに戻って
食事をすることにした。
異変のこと、アンは?
森が南下し始めるっていう予言はあったけど、
それ以外のことは何も。
あなたたちが目覚めるっていう予言もなかったわ。
でも私たちは、
あなたたちがずっとガレージで寝ていて、
体が消えたわけじゃなかったから、
そのうち目覚めるんじゃないかと思ってた。
前の怪物出現の時みたいに、
アンはあなたたちだけに
特別な情報を教えてくれるかもしれないわね。
食事が済んだら、
アンにアクセスしてみましょう。
家に入る時、レイチェルは
ふと直近の灌木に気がつた。
この木、さっき出かける時はなかったはず。
そうそう。
植物の中にはそんなふうに
急速に生長するのもあるのよ。
解説)
続きます。
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