May 29, 2023

春風に吹かれて そのご

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高台は日ぐれて。灯ともし頃。


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うたさんヒッチハイクしてるんでしょう。
泊まるところ決めてるの?
これから探すとこ。


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そこに隣の家から
たまきが散歩に出てきた。

文学フリマに行った人がいるって、
和歌子に教えてもらって。


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事情を聞いたたまきは、
それならうちに泊まりなよ。
と言っている。


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さっそく文学談義が始まっている。
わたしいつか小説書こうと思って、
面白そうな場所をヒッチハイクしてるんだ。
とうたが言った。


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この本読んだ?
なぜか3冊あるから、一冊あげるよ。
あ、「月夜にゾウがはしごを上っていく」ね。


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この町に来たのは紹介記事を読んだからだけど、
もうひとつ理由があって、
私フィギア大好き人間でもあるのよ。
この町の郊外に有名なコレクターがいるでしょ。

あ、ジャンさんのことね。
とたまきが言った。


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その人のジオラマの庭が見てみたくて。
郊外でお家を探してたんだけど、
見つからなくて道に迷っちゃってね。
とりあえず町に行くことにして、
トムっていう人に道で拾ってもらったの。

そういうと、うたは
大事そうにバッグからフィギアを取り出して
見せてくれた。


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かっこいいフィギアだね。
自作したの?
ええ。オリジナルなの。
この子と、いつも一緒に旅してるの。

すごいなあ。
あ、ジャンさんなら仲良しだから、
明日にでも連絡して遊びに行こうよ。
きっと喜ぶよ、とたまきが言った。

モモコは意外な展開に驚いている。



解説)
意外な思いつきに
製作者も驚いています。
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