Apr 28, 2023
絵画を返す
メルティとジョンは、魔法の扉を通って、
魔術劇場の応接間に絵画を運んできた。
ふわふわ漂いながら、
サルバドールもついて来たので、
ヴィヴィアンたちは驚いている。
ハリーさん。
この絵、せっかくマンスフィールドさんから
いただいたんだけど、
こちらの世界にお返しします。
私の夢の中に置いておくと、
ここにいるサルバドールさんみたいに、
いろんな夢魔を呼び寄せるようで。
ふむ。なるほど。
では、私が預かっておこう。
絵を見たくなった時には、
いつでもここに来ればいい。
ところで、あなたが有名な夢魔
サルバドールでしたか。
お噂はかねがね。
私はハリーと申します。
いかにも。
ここが魔術劇場ですな。
夢食いの夢魔たちの間でも評判ですよ。
ふむ、ただならぬ悪魔の気配がするが。
それは私。
ハリーの娘、ヴィヴィアンと申します。
ところでサルバドールさん、
お越し早々まことに失礼ですが、
この世界では、普通の人たちが
普通に暮らしているので、
そんなふうに空中に浮いていてもらっては、
困ります。
私が姿を変えて差し上げましょう。
ヴィヴィアンが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり、
サルバドールが変身した。
なんとこれは。
メルティもね。
薄い煙と共に、
メルティの姿も大きくなった。
メルティは、ありがとう♪
と言っている。
二人が応接間から
広場に出て行った後、
ハリーとヴィヴィアンは
話し合っている。
夢魔っていうから、
フュースリーの絵みたいに、
ツノでも生えているのかと思ったのに、
案外普通のおじさんだった。
お前だって、悪魔には見えないよ。
そういわれればそうね。
この絵のことだけど、
前に見た時とは違った、
なんか変わった力を感じる。
どうやら夢食いたちの発する
衝撃波をたて続けに受けて、
魔法の扉のようなものに、
変性したようだ。
どんな世界に続いているのやら。
メルティとサルバドールは、
魔術劇場の魔法の扉を抜けて、
広場に足を踏み入れていた。
解説)
新しいエピソードの
始まりのようです。
フュースリー「夢魔」
WriteBacks
http://haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20230428202701.trackback
writeback message: Ready to post a comment.