Aug 07, 2022
異世界の話など
アンに、
サラーム。と言われて、
アゼルバイジャンの観光客は、
感動している。
サラが屋台の方の人だかりを
眺めると。
大きなテーブルが用意されて、
みんなで歓談している。
エルマもいるようだ。
エルマの知り合いが集まっているのだった。
エルマにサングラスを手渡したサラも、
その輪の中に入れてもらった。
今年はスイカのワンピース着てないの?
あれはね、ちょっと派手だったので。
ところでエルマ、初めてジルさんにあったんでしょう。
実際のところどうだった?
想像してた印象と随分違ったわ。
元恋人のフィギアを自作するなんて、
もっとオタクっぽい人かと思ってたけど。
ジャンさんみたいに?
みんな、うんうん、という感じで納得している。
ジャンだけは、ちょっと固まって聞いていた。
サラは、ここでは自分だけ部外者なんだ。
と思っている。
あ、サラは、
これまでのいきさつを知らなかったんだね。
とアイスがいった。
みんな去年起きたことなんだ。
とジャンは、少し長くなるけど、
と言って解説してくれた。
僕は今もそうだけど、
郊外の倉庫付きのバービーハウスに住んでいた。
フィギア集めとジオラマの撮影が好きで、
庭にジオラマの村を作って遊んでいたんだ。
去年の夏に、フィギアを買った帰り、
ベーカリーで、初めてたまきさんと知り合った。
それからたまきさんとナオミさんが、
うちの庭に遊びに来るようになったんだ。
そんなある日、
倉庫で3人で夢見の水を飲んでいた時、
ドアから突然、ドイツ軍兵士たちと、
エルマがやってきた。
入口のドアが、なぜか異世界と繋がったんだ。
次の時にはにジョー軍曹と米兵がやってきた。
たまきさんは軍曹を追っていったんだけど、
しばらくしたら戻されてしまった。
やがてリリスっていうフィギアの精霊が現れて、
異世界のことを教えてくれた。
異世界は僕のジオラマの村と、
そこに配置したフィギアたちの暮らしが、
みんなの夢見る力で現実になった世界だったんだ。
町で写真展を開催したのもその頃だ。
それは、サラさんも知ってると思う。
僕の庭のジオラマの村は、すっかり有名になって、
いろんな人が見学に来るようになった。
リリスを写真展に連れていったり、
村に彼女の住む家や酒場を作ってあげたことで、
リリスがお礼に倉庫からその酒場に行き来できる
魔法のドアをつけてくれた。
魔法のドアで異世界と行き来できるなんて、
ファンタジー小説みたいなお話なのね。
まだ続きがあるんだよ。
とジャンが言った。
その後、異世界に、怪物が現れたんだ。
モモコさんの夢の世界が異世界に融合したらしく、
一度はモモコさんが退散させたんだけど、
怪物は毒虫を放って再び村を襲ってきた。
結局、助っ人を頼まれたアイスさんが行って
怪物を退治したんだ。
スペクタクルだったのね。
とサラが言った。
その頃、ジルは、
サラたちの部屋に来ていた。
エルマさんのサングラスですか。
サラが届けに行きましたけど。
あ、行き違いだったか。
解説)
ジャンの解説は、
ジャンとたまきが初めて出会った、
去年(2021年)の6月30日「新しい出会い」から、
9月19日の「秋のきざし」まで、
こちらの世界の住人たちと、
ジャンのジオラマから生まれた異世界との
交流を描いた一連のエピソードの要約なのでした。
目次の2021年6月30日「新しい出会い」から続けて見ると、
途中に写真展やら、水遊びなど、
色々別のエピソードも混じっています(^^)。
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