Jun 06, 2022

ヴィヴィアンを探す

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ベーカリー前は今日も賑やか。


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屋台の前の席にいるアンジーは、
魔術劇場から女性が出てくるところを見ていた。


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肉まんを買っている。
これは、声をかけるチャンス、
と、アンジーは思った。


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こんにちわ。
今、劇場から来られたのをお見受けしましたが、
魔術劇場の方ですか?
いいえ、私は住んでるわけじゃなくて、
遊びに来てるだけ。
兄がはまってる肉まん、食べてみようと思って。
ここの肉まん美味しいわね。

たしかに。
私も大ファンで、この店に入り浸りなんです。
ところで、魔術劇場このところ開演しないですね。
そっちも楽しみに待ってるんですが。

兄の奥さんが娘を連れて逗留してるから、
色々忙しいのよ。
もっとも、昼間は結構みんな外出してるけど。

娘さんっていうと、ヴィヴィアンさんですか。
とアンジーは試しに言ってみた。


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あなたあの娘、ご存知なの?
ええ、英国でちょっと。
でも、連日ここで食事しながら見てるんですが、
見かけないですね。

ああ、見かけは全く別人だからわかるわけないわよ。
紫色の髪をしてるから、見かけたら声をかけてみるといいわ。


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その夜のドルフィン。
ベンチが休憩スペースに運びだされたので、
物置のようだった室内はすこし整頓されている。
室内には合同チームのメンバーが集まっていた。

ずっと劇場に引きこもっていると
思われていたヴィヴィアンは、
紫色の髪の女性に変装して外出していたことが
アンジーの聞き取りの結果わかったの。
とルビーがいった。
あとはアンの記憶画像で特定するだけ。
レイチェル教授、はじめてください。


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数十分後。
あ、ここで止めて。この人ね。
劇場に出入りするところ、みたことがある。
とアンジーがいった。

ルビーもアンジーから紫色の髪の女性と聞いた時から、
すぐにセリアのことを思い浮かべていた。
それは、4月半ばに魔術劇場で体験した異世界で、
自分の分身になった女性であり、その後も
町で見かけたことがあったからだった。


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ジェイソンが、セリアに声をかけてる。
こんなところまで、音声入りでアンに記録されていたなんて、
監視社会って怖いね。
とアイスが言った。


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これまでは、肝心のヴィヴィアンが姿を見せないので、
警護と言っても雲をつかむような話だったけど、
これからは、しっかり任務に専念できるわね。
さすがMI6。
とルビーが言った。

だけど、変装と言っても、こんなに変われるものかしら。
容姿から肌の色から、全く別人としか思えない。
とアンジーがいった。

彼女の父親のハリー原っていう人物は、
スプーン曲げたりする普通の超能力者じゃないの。
魔法を使うのよ。
セリアっていうのは人間の姿をした、
人がなりすませる分身みたいな存在。
うまく説明できないけど、体験すればわかるわ。
とルビーが言った。


解説)
思わぬ会話から
秘密が漏れてしまうこともあるようです。
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