Aug 26, 2021
リリスの話
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リリスが店にきたようだ。
ジオラマ展では毎日
運んでくれてありがとね。
うちの子になる?
といわれている。
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ジャンさん、
リリスさんがお話したいって。
それから赤い照明おとしてね。
とエルマはクリスにいった。
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ジャンが座席にすわると、
リリスが話はじめた。
あのドア、気に入ってもらえたかしら。
ドアをつくったのは、
もちろんこれまでのお礼なんだけど、
便利になったついでに、
この世界で起きてることに、
ちょっと手を貸してほしい、
とも思っててね。
ジャンは率直に言った。
ドアにも驚かされましたが、
ジオラマの村によく似た
こちらの世界の様子にも驚かされました。
こちらの世界での出来事が、
僕たちの想像力や無意識の願望よって、
変化することは判ってたつもりですが。。
ただそれにしては、ひとつ腑に落ちないことが。
それは別世界からの怪物の出現という話です。
人類が怪物と戦うSFファンタジーみたいな世界は、
想像したことがなかったので。
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ジョーは話についていけそうもないと思っている。
あなた、もしかして、私を疑ってない?
とリリスはジャンをみつめて微笑みながら言った。
村に家や酒場をつくってもらったおかげで、
私はひとりきりじゃなくなった。
兵士たちも戦争をやめて仲良くなり、
毎日酒場に集まって、めでたしめでたし。
でもそんな世界を維持するためには、
みんなに共通の外敵が必要。
それで私が怪物を、
うみだしたんじゃないかって。
残念ながらそこまでの力は私にはないの。
こちらの世界の設定をかえられるのは、
あなたたちの夢みる力だけ。
あの怪物はね。
というか、正確には怪物が現れて
人々を襲うようになったっていう設定はね、
ジョー大尉がもう話したと思うけど、
モモコっていう人が見たこの世界の夢に、
はじめて現実化されてでてきたことなのよ。
ということは?
とジャンは身をのりだした。
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たぶんモモコっていう人には、
なにか異世界に対する特別な感能力が
もともと備わっていたんじゃないかな。
これまでも夢で異世界と行き来してたとか、
異世界の住人や生命体と交流があったとか。
そうした夢の記憶が彼女が見たこの世界の夢に、
混入したと考えれば何となくつじつまがあう。
![a6](/~shimirin/blog/kirita/entries//20210826212934.files/a6.jpg)
でも本人も、自分の無意識がこの世界で
怪物を産んだなんて、
知らないかもしれないですね。
とエトナがいった。
ええ。だからね。
できることは、そのモモコっていう人に、
事情をうちあけて、できれば
こっちに様子をみにきてもらうこと。
あとはそのひとしだい。
っていうか、それほど強い感能力をもつひとなら、
きっと何か答えを導き出せるはずよ。
ドアはそのためにも
役に立つっていうことですね。
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わけのわからないことを
話していそうだなあと、
クリスが心配そうにみている。
![a8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20210826212934.files/a8.jpg)
そのころ、モモコは
ジェニーの和室に遊びに来ていた。
そのアートブック、読み終わったみたいね。
そろそろ、ジャンさんに返しにいかないと。
とたまきがいった。
うん。すごく面白かったよ。と文学青年はいった。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20210826212934.files/a9.jpg)
映画「マーウェン」をみて、
特別な魔女やタイムマシンまででてくるのは、
戦時中のベルギーの村が舞台という原作に加えられた、
映画制作サイドの脚色かなと思ってたんだけど、
そうじゃなかった。
この本の写真シリーズには、
けっこうSFやファンタジーの要素もはいってて、
変な言い方だけど、
マークさんもやっぱり現代っ子だったんだなあって。
うんうんと二人が言った。
![b1](/~shimirin/blog/kirita/entries//20210826212934.files/b1.jpg)
私、このまえジャンさんの庭を見に行くつもりで、
電動スクーターで郊外まででかけたんだけど、
途中で道に迷っちゃって、結局行き着けなかったの。
たまきたち、ジャンさんにその本返しに行くなら、
一緒についていっていい?
とモモコがいった。
うんうんと二人が言った。
解説)
なんとなく流れが
つごうよく進んでいます(^_^)
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