Feb 24, 2006

剣と魔法の国 その14 聖ゲオルギウスの竜退治



その1 絵画編


ひとが竜を退治する、という神話や伝説は数多くあるが、
なかでも有名なのは、聖ゲオルギウス(セント・ジョージ)の竜退治だろう。

どのくらい有名かというと、イングランドの国旗がそもそも、
白地に赤い十字のセント・ジョージ・クロスになっているくらいで、
昨日も偶然『ボブ・ディラン自伝』を読んでいたら、
少年時代のヒーローは誰かときかれて、
「ロビン・フッドと竜退治の聖ジョージです。」と、
答えるところがあった(^^)。

芸術作品では、白馬に乗った騎士が竜をしとめている、という構図が一般的で、
ここでは、手元の画集の中から、そのいくつかを紹介してみたい。


s1

「竜を刺し貫く聖ゲオルギウスをかたどったインク壺」
15世紀末、フェラーラで壺職人によってつくられたもの。
聖ゲオルギウスは、フェラーラの守護聖人でもあり、いろんな工芸品で表現されたという。
(「イタリア・ルネサンス展」カタログより)


s2

「ゲオルギウスと龍」
ハンス・ラインベルガーによる木版画。
制作年は不明だが、作者は「ドイツ初期のアーティスト」とあるから、
かなり古そうだ。この龍のポーズを踏襲して、
後年、バーン=ジョーンズが絵画を制作している(後出)。
(「バーン=ジョーンズと後期ラファエル前派展」カタログより)


s3

s4

「聖ゲオルギウスと龍」
16世紀のはじめに描かれたラファエロのふたつの作品。
ガーター勲章を受けた人のために描かれたという対幅のもの。
龍の顔がおもしろい(^^)。
(「アサヒグラフ別冊美術特集 西欧編12 ラファエロ」より)


s5

「聖ゲオルギウスと龍」
ロセッティ。1862年頃。
連作「聖ゲオルギウスと龍の物語」の中の一枚。
(「ロセッティ展」カタログより)


聖ゲオルギウスは、もともと二世紀に小アジアに生まれたローマの護民官で、
キリスト教弾圧に反抗して斬首された殉教者だったらしい。
11世紀頃に、悪龍を退治して王女を救う、という話がくわわり、
13世紀にできた聖人伝「黄金伝説」の流布によって、その物語が広がったとされる。
(「アサヒグラフ別冊美術特集 西欧編12 ラファエロ」参照)

こういう作品をみていて、以前から気になっているのは、
描かれる竜の形姿だ。ラファエルの龍は独創的な感じがするが、
多くは巨大なトカゲかワニのような姿で描かれている。

話は脱線するけれど、
中国の古代の文書に、どこそこに「龍」があらわれたということを書いた記録があり、
その龍とは、古代種のワニではなかったか、という説を読んだ記憶がある。
中世に描かれた竜とは一緒にできないけれど、当時のひとが、
実際のワニを参考に描いたということは、大いにあり得そうに思う。



その2 たまきの竜退治(^^;


t1

「聖ゲオルギウスと竜」
1560年代。レリオ・オルシによる。
(「イタリア・ルネサンス展」カタログより)
この構図を参考に。。。


t2

たまきが竜を退治している(^^;。


t3

真剣なかおだ。。


t4

これはバーン=ジョーンズの、「龍を退治する聖ゲオルギウス」(1864)。
これは珍しく馬からおりている図像だ。
龍のポーズが前出のハンス・ラインベルガーのものとよく似ている。
(「バーン=ジョーンズと後期ラファエル前派展」カタログより)


t5

これはたまき版(^^)。


t6

よろこんでいるところ。


t7

このユニークな怪獣、実は宇宙怪獣だと思う(^^;。
名前を失念してしまったのだが、
ウルトラマンのファンの人だったら名前を知っているかもしれない。

追記)この怪獣の名前は、ウルトラマンマックス第一話に登場する、
溶岩怪獣グランゴンであると、スプさんから教えていただきました(^^)。


Posted at 19:10 in n/a | WriteBacks (2) | Edit
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ヒーロー

わたしの子供時代のヒーローは「ロビンフット」と「ピーターパン」それから「白雪姫」の王子様でした。気が多いわね(^^)。。。

そういえば、ネバー・エンディング・ストーリーに出てくる、白い龍も素敵でした。

龍は古今東西、さまざまなお話に出てきますね。
悪役やら権威の象徴みたいなもの。人間の想像力は豊かなのか、貧しいのか、よくわかんない。。。

Posted by 昭 at 2006/02/25 (Sat) 11:13:54

子どもの頃、家に龍を描いた墨絵の掛け軸があって、
それをみて育ったので、龍というとそのイメージがあります。
蛇体で鹿の角が生えていて雲の中にいる正統派のもの(^^;。
あの中国的な龍と西欧の竜(ドラゴン)はどうも別ものですね。将棋とチェスみたいに、どこかの原イメージが東西にわかれて伝搬していったのかもしれない。



Posted by 桐田真輔 at 2006/02/25 (Sat) 17:40:10
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