Feb 15, 2022
お稲荷さん
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今日は、図書館の返却日じゃなかった?
あ、すっかり忘れてた。
日が短いからはやくいかないと。
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文学青年は図書館に向かう途中で、
小力貴理子に出会った。
これから土人形の奉納に
お稲荷さんにいくところなんです。
僕は図書館に。方向同じだから、
途中までご一緒しましょう。
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二人はお稲荷さんの前までやってきた。
巫女さんのような人が掃除をしている。
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こんにちわ。
自作の狐の土人形を奉納させていただきたいんですが。
と貴理子がいった。
「あ、やばい。
お姉さんだ。」
と狐の精霊はいったが、
貴理子と文学青年にはきこえなかった。
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それはそれは。
もちろん謹んでお受けいたします。
あら、こちらの狐の土偶ですね。
よくできていますね。
巫女のようなひとは、土偶をうけとると、
土偶の頭をかるく叩いた。
「どこほっつきあるいてたの?
とつぜんいなくなって、
心配してたのよ。」
「ごめんなさい。
このひとのつくったお面に
つい乗り移っちゃって。」
と、狐の精霊たちの会話が
続いていたが、
貴理子たちには聞こえなかった。
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このお稲荷さん、よくお参りにくるんですが、
これまで巫女さんなんてみかけなかったけど。
と貴理子はいった。
あ、わたし
ボランティアで巫女やっているんです。
駒井魔子っていいます。
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駒井魔子は近くの見晴らしのいい場所に
ふたりを誘うように連れて行った。
お稲荷さんっていうと、みなさん狐を連想しますが、
稲荷っていうように、もともと祭神は穀物や稲の神さま。
すこし前まで、このあたり一帯が田んぼだったんですよ。
それで高台にぽつんぽつんと、
小さなお稲荷さんが残っているんです。
すこし前って、いつごろのことだろう。
と貴理子は思った。
![d8](/~shimirin/blog/kirita/entries//20220215203551.files/d8.jpg)
あなた方のような参拝者がへって、
ちょっとさびしくなりました。
魔子がそういうと、
一陣の冷たい風がさーっと吹きぬけた。
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文学青年が図書館からもどると、
もう日が暮れていた。
あ、探してた本みつかったの?
うん。竹倉史人の『土偶を読む』
借りてきたよ。
解説)
続けないと忘れてしまいそうなので、
土偶に宿った狐の精霊のエピソードに
区切りをつけることに。
しかしまたあたらしいフィギアが
登場したりして、
この先、どうなるのか未定です。
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