Jul 20, 2009

マルテの手記ーメモ1

mukuge-2

 前日に「マルテの手記」について全体の大雑把な感想を書きましたが、あらためてわたくしがこころに留めておきたいメモを書いてゆきます。こうした手段を使わなくては、どうにもこの1冊を読み終えたことにはならないでしょう。いやいや、これでも「読みました。」というところには多分到達できないでしょう。まず引用から・・・。

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 君はフロベエルが「修道僧サン・ジュリアン」を書いたのが偶然だと信じるか。癩者のベッドに寝て、恋人の閨のぬくもりと同じ心の暖かみで患者を暖める――そこまで思いきれるかどうか、が最後の決着だと僕は思っている。その決意はきっとすばらしいものをもたらしてくれるのだ。
 僕がパリで悲しんでいると思ってもらっては困る。(中略)僕は進んで、現実のためだったらすべての夢を葬ることができるのを自分ながら驚いているくらいだ。ああ、これが少しでも君に書いてやれるのだったら!しかしいったい現実というものは友達と分けあうものだろうか?いや、いや、現実は孤独の中へ閉じこめておかねばならぬ。

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 ここの引用部分は「手紙の書きつぶし」だそうです。つまり友達に宛てて書いた手紙でありながら、「マルテ」は出さなかったということで、結局「独り言」ということですね。「修道僧サン・ジュリアン」の魂のぎりぎりの純粋性を友達へではなく、自らに突きつけたということになります。さらに「現実」を孤独のなかに閉じこめるところまでみずからを追い込んでいます。
Posted at 14:09 in book | WriteBacks (0) | Edit
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