それは突然に
何の予告もなく訪れた
ふいに展開されはじめた その状況に
自分の思考が混乱をきたす
なにげなく横を向いた その先には
見覚えのある過去の顔
時間をかけて記憶を掘りおこす手間もいらず
閃光のようにくっきりと 蘇る
あたふたと
心の中は みるみる落ち着きをなくし
脳みそが やけに熱く
理性を奪い去る
時間は とてつもなく
スローモーションで動きはじめ
まどろむ よりも以前に
遅々として進まず
時々かすかに盗み見る 視線のその先では
ジクソーパズルのように
誰が誰であるか
せわしなく推理が巡る
それらの一団
ああ
やっと
退散してくれた
さめやらぬ興奮をなだめて
じょじょに
鎮めようと試みる自分だけが
そこに残った
これは 神様のいたずらか?
はてまた
天からの
プレゼント か?
(2003・3・1 ふくやま文学15号 所収作品)
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