156-3
疑問
黒いメダカがいつの間にかいなくなった
黄色いのが五匹、ひっそり水槽の底に
やっと春めいた光が差し込んで
すこしだけ餌を浮かせると
ゆううううっくり浮き上がり
くわえては吐き出しまたくわえる
それを遠い天体から見ている
ピクリともせずに だが
ふとした拍子に
五匹はさっと深みに逃げる
何を察知したのか
メダカと天体をつなぐ空気の配列が崩れたか
彼らに巨大な影が落ちたか
小さな謎を残したまま
メダカは永遠になつかない
156-4
なぞ
黒いメダカがいつの間にかいなくなった
黄色いのが五匹、ひっそり水槽の底に
やっと春めいた光が差し込んで
すこしだけ餌を浮かせると
ゆううううっくり浮き上がり
くわえては吐き出しまたくわえる
それを遠い天体から見ている
ピクリともしないように だが
ふとした拍子に
五匹はサッと深みに逃げる
(なにをしたというのだ)
彼らと天体をつなぐ空気の配列が乱れたか
巨大な影がひっかこうとしたか
小さななぞを浮かべて
メダカは今日もなつかない