May 09, 2006

奇跡は、条件を課する権利がある。

ボルヘス『砂の本』は短編集で、13の短編で構成されている。どの話も、奥深い、不思議な、恐ろしい雰囲気。なかでも「ウルリーケ」は、詩に近い散文。その中のフレーズにふと足が止まった。タイトルの文章がそれ。篠田一士訳。内容は、直接読んでもらうのが一番だろう。奇跡のような愛の話し。愛の究極の相。そして奇跡とはなんとシンプルな様子をしていることだろう。「まもなく死ぬ人は、未来が見えると考えられている。」「そして、あたしはもうじき死ぬの」ボルヘスは晩年盲目で、口述で書いたそうだ。
吉行理恵さんが亡くなった。同い年の1学年違い、ということは辻さんと同じ。確か辻さんの文章に吉行さんのことを書いたものがあったと思う。詩はみんな短いが、詩の本質というものが現れた詩。逆立ちしてもこのひとにはかなわないと思ったことがある。縁側でマリをつく詩はそれ自体詩そのもの。お人柄を知る人の話では、かなりお嬢様タイプのひとだったようだ。
ひと夏を藪に置きしが枯れはてし  かおる
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