Mar 20, 2006
「異邦人」と「変身」
カミュ「異邦人」新潮文庫を読み終えた。薄い本でバッグに入れて外で読みつないでいた。1部のほうはちょっと退屈で、読みにくかった。2部に入って、逮捕された後の話になって、俄然集中した。解説で、「変身」との違いが論じられていたが、ピンとこない。同じような、内向的な青年が、どうしても世間と妥協することができない切なさが迫ってくる点では同じニュアンスに思われる。いま、北村透谷を思っている。第2部のはじめのほうに「この名のない時刻に、沈黙を連ねた刑務所の各階という階から、夕べのものおとが立ち昇ってゆく。…」という文章に出会って、一気に総毛だった。まるで自分がその場のその人であると思わせられた。「夕べのものおと」を自分の詩のタイトルにもらうつもりだ。
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