Jul 27, 2005

S先生

からお電話をいただいた。 富津のセミナーへのお誘いだった。 電話口で少し話があって、詩集のテーマはジャンヌ・ダルクでしょうとお見通しだった。以前に『ガニメデ』誌をお送りしたことがあった。だれでも知っているテーマだからおもしろくない。掘り下げが足りない。とのご意見だった。それは既に自己反省して、それゆえガニメデの少女戦士を破棄して「悪の伝説」に書き換えたのだったが、そのへんの事情を説明するには電話では無理だった。みんなが知っているジャンヌを通して自分を追及できないかと思っていますというようなことはどもりつつ返したのだったが、電話を切ってから、言いようのない歯がゆさにとらわれた。このまま、兄たちや先生たちとのようにもう話せない別れがあったとしたら。いや、それでいいのだ。話してどうなるというものでもない。このまま、分ってもらえないという苛立ちのまま。伯母や母などともそんな別れをしたのだから。
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