Feb 27, 2006
月の裏側
月の季節――しばらく月の裏側に居た。そこは、呼吸がかろうじて可能な程度の酸素を含む大気で、湿度はゼロに近く、暗黒。「青い地球」は見えない。しばらく仮死のうめきをあげていると、少しずつ、菫色の光が射しはじめる。意識がはっきりしてきて、自分を分かる。自分の手足や顔の自覚が戻ってくる。老年はこうした光と闇の2元世界で生きさせられるのだという予感は前からあったが、実際に体験したのは、今回が初めて。地球が見える季節に入れば、しばらくは元の状態で過ごすことになるだろう。
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