Jan 26, 2019

新年に入ってから読んだ4冊の文庫本

調布に仮寓していたときに、駅ビルの書店でブッツアーティの絵本 『モレル谷の奇蹟』に眼が引きとめられて手に入れた。そのつながりで同じ著者の『タタール人の砂漠』『神を見た犬』を買って引越しのドサクサでそのままにしていたが、気になっていて、松の内が過ぎてから新しい机で腰をすえて読み始めたが、すごく面白い。久々に引き込まれル読書だった。調布図書館でペソアを2,3冊読んだあとで、その余韻がブッツアーティにも被さっているような気がした。二人に共通しているのは感情的な内気さだろう、そしてその分だけ、自負心が強い、が、それは深く内面化されていて自分でも気が付かない程度のものだ。だが文章からにじみ出て香気を放つ。霜の朝の水仙の香りのようだ。ペシミズム、もう変わり様がないドンズマリ。そこで水ニナガレルオフェーリア状態でかすかに歌を歌っている。同じ本棚にガリレイのひどく薄手の『星界の報告』が目に付き、〈星界〉という言葉と、ぱらぱらめくって月のデッサンが幾つも載っているのに惹かれて購入した。これと、正月あけに町田の高原古書店でブレヒトの台本『ガリレイの生涯』をみつけて、あわせて読んだばかり。その清新さに今年の読書の幸先を占ったら、大吉と出た。この4冊、幸福な読書だった、今年は吉だぞっつ! もう本は買わない(家を移るのに窒息しそうに苦労したから)と決めていた決心が早くも崩れた。欲しい本を手に入れるのに何が悪いと早くも居直って、好きな本をどんどん読むことで濁った心を洗い流そう。
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