Aug 27, 2010

カミソリ少女と身熱

5月末に出版した『幻影の足』について、ここで2つの詩誌で書評をいただきました。1つは竹内敏喜さんにより「異端とは突出すること」と題する『現代詩手帖』9月号、もうひとつは中本道代さんにより「情熱の系譜」と題する『交野が原』69号です。2つの書評に共通するのはタイトルにもある異端論です。竹内論はジャンヌ・ダルクを例とするカミソリ的な少女の突出性を、中本論では、1回限りを生きる身体の熱について、それを「身熱(みねつ)」と呼んで論じられています。本人の有働としては、お二人とも同じところに着目されて、それぞれの書き方で論じてくださっているとの感想を持ちました。さらに、詩は書いた本人を出て、詩として存在するのだな、という漠然とした気持ちも持ちました。
今回の詩集については、荒井隆明さんや中西弘貴さんから行き届いた分析を含むご読解をいただき、また鋭い1文を乗せたおはがきもお寄せいただいています。ネット上でもコメントをいただき、ありがとうございます。
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Aug 15, 2010

終戦記念日に

朝、テレビの6チャンネルで65年前の今日正午にラジオ放送された天皇の終戦諮勅の全文の録音が放送された。65年前疎開先の母方の伯父の許で聞いた時は6歳の夏で、意味はまったく分からず、独特の声の音調が耳に残っただけだった。従姉のお姉さんたちが泣いていたので、深刻な事態なのだろうと漠然と感じたに過ぎなかった。今日、テレビで全文を聴いて、いやな印象はなかった。ああそういうことか、と納得はできたが、その前後の耐えがたきこと、忍びがたきことをだんだん知るにつれて、 その1ヶ月足らず前に自分の身に起こったことも思い合わせて、 戦争で無傷だった人はいないと思った。65年間戦争をしなかったというが、傷が深すぎて、もうできなかったのが事実だろう。
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