Jun 29, 2007

二つの詩(2)

友は道路の縁にいる そこでは空が広がる。
立って、彼は遠くを見ている
野原は空ろで、霧に包まれ暗い、
山嶺の僅かなはりえにしだが乳白色の太陽に輝いている。
彼は身をかがめ、くり返す微風に耳を傾けているようだ
《出発するべきだ!》と。
彼は道路のふちで世界の縁に立ち
孤独の井戸の上にかがみこむ。
昨日、わたしは湾のそばでも彼を見た
砂の上で光が動くのを見つめていた。
おお、世界の上のきみの母親の叫び声よ!
いつもひとりで、自然の中に座っている
かたや時は過ぎ
空は広がる。


 友の孤独を歌っているが、これほどの親友を持っているのだから、孤独とは言えまい。あるいは、この「友」は孤独な私自身か? ブルターニュ半島では乳色の太陽ほか、ここに描かれている風景はとても典型的である。この詩で気になるのは、最後から四行目の「母の声」である。O le cri de sa mere au-dessus du monde!  友が「母の声」に導かれて命を絶つのではないかと危惧を感じる。必要なだけの言葉で、必要ぎりぎりのことを書いている。言葉の清廉は、人格の清廉に通じるだろう。
友は=Mon ami わたしの友人。家族ではない親しい人。精神的に身内であるひと。自分に近しい人。
道路の縁=au bord de la route 車の通る街道、自動車道であろうが、なにぶん田舎なので、車の行き来もまばらである。
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