Jun 18, 2008
神さま
長女の部屋。それは、彼女の「聖域」というか、誰も入れない場所だった。大きな手術を終えて自宅療養になったとき、亡くなったばかりの祖父の書斎を大急ぎで片付けて娘の個室にした。(それまでは次女と一緒の部屋だった)そこは娘が「じぶんを取り戻す場所」だったのだと思う。
ものすごく多くのものが、形容しがたい状態で置かれたり積まれたり貼られたりしていた。
彼女が恋人と暮らすことを決めて部屋の整理を始めた夏からもうすぐ一年が経つ。ものすごく多くのものが捨てられたり、運ばれていったりして、部屋は開放されわたしに委託された。
わたしは猫と一緒に部屋に入り、残されたものを少しずつ片付けている。
あんなに運んだのに何故まだこんなに本の山があるのだろう。キラキラひらひらを詰め込んだ洋服の袋、シンデレラのようなハイヒール、、。ヘルメットはいったいいくつあったのだろう。捨てても運んでもまだまだある雑多なものたち。かつて娘が必要として、もう不要となったもの。
廊下の窓を開けるとさっそく猫が飛び乗った。
ふと、部屋の片隅を見ると、祖父、つまりわたしの父の所有物だった本が数冊、そのまま本棚に置かれている。「交読 詩編」という薄い一冊を手にしてみると聖書だった。そこにはキリスト関連の本がまとまって きちんと並べられていた。
父はクリスチャンだったが、わたしはキリストを知らない。もちろん娘にも無縁だった。
「かえってきた」・・・、何となくそう思った。父の思い出がよみがえり、懐かしくて切なかった。娘が大切にしておいてくれた場所。それは神さまがいるところだった。
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