Dec 24, 2024
ジェーンのいる世界 そのなな
ちょっと、寒くなってきたわね。と言って、
ジェーンは食器棚の扉を開けている。
ランプを灯すつもりのようだ。
これしばらく使っていなかったから、
オイルも補給しといたわ。
このランプは外でしか使えないのよ。
扉を閉めて食器棚の中で使うと、
酸欠で死んじゃうかも。
あ、これもついでに出してきたから、
一緒に食べましょ。
それは、大きなチョコのパッケージだった。
ジェーンはまた何やら探している。
今度はなんなのかしら。
この本もこの間、
本棚で見つけたの。
面白そうだから読んでみない?
「雑草物語」か。
大島弓子っていう人のコミックなのね。
二人が最初のページを開くと、
「クリスマスの奇跡」という絵物語が載っていた。
わーかわいいイラスト。
そういえば今日はクリスマスイブ。
偶然とはいえ、ぴったりじゃない?
二人は夢中になって読み始めた。
4ページだけの絵物語なので、
すぐに読み終わった。
何の予定もなかったクリスマスイブを、
一人ぼっちで寂しく過ごしていた女の子が、
真夜中に今年一年間に優しくしてくれた人たちに、
プレゼントを配りまくることを思いついて、
実行して幸せな気分で眠る、っていうお話だったね。
私たちは二人でイブを過ごしてるから、
寂しくないわね。
とモモコが言った。
そうね。
今晩泊まって行ってもいいかな。
夜になり、
二人はそれぞれ手袋の中に潜り込んでいる。
あのチョコお酒が入ってた?
ラムレーズン入りでアルコール度3.7%。
きっとよく眠れるわよ。
解説)
続きます。