Oct 26, 2023

盗まれた転送装置 そのさん

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何か手掛かりはあるのかね。

はい。研究所の倉庫の監視カメラが
侵入者らしき男の映像を。


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これは監視カメラから
抽出した画像です。


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転送装置を運び出そうと
しているところのようです。


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これって、昨日見かけた人よ。
とルビーが言った。
その時は思い出せなかったんだけど、
確か7月の中頃に、
広場にエリスと一緒に来ていた、
ウェルズっていう人によく似ている。
管理局に勤めていて、
休暇で遊びに来てるとか言ってたわ。


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ペンギン前のスペースでは、
ミラとウェルズが話していた。


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声もあなたにそっくりなので、
すっかり騙されちゃったわ。
そういえば顔はよく似てるけど、
髪の色が微妙に違ってたわね。
それにあなたの頬にはうっすらと無精髭が。
彼は何者なの?


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彼はブラウンって言って、
ある意味私の分身なんだ。
別の時間軸で生まれた私といえばいいか。
個人的な事情は省略するけど、
時間管理部では仕事柄、
秘密厳守のタイムトラベルをする関係で、
部員が過去の自分をスカウトするようなことがある。
そんなわけで、彼も時間管理部に勤めていたんだけれど、
しばらく前に職場放棄して、迷いの森に出奔した。
まだ森にいるらしいっていう情報はあったんだが、
この町に来て、仮想現実体験装置を調べていたとなると、
何を考えているのかちょっと気になるね。

職場放棄でしょう。
時間管理部では追跡してないの。

追跡はしているけど、仕事が多すぎてね。
部員の職場放棄に関しては実情はほぼ野放し状態なんだ。
そうやって特定の時代に紛れ込んで、
ひっそりと暮らしている元部員って結構いるんだよ。
その時代にそぐわない発明などをしてしまい、
有名になってしまうケースもあるんだが。
君も知っての通り、
あまりに大きな歴史の改変の原因になる場合、
情報管理部にも協力してもらって
マンデラ効果を起こす場合もあるけど。

確かに。
でも基本的にいいかげんなのね。


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二人が話していると、ルビーとアリスがやってきた。


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ウェルズさん。
ロボット研究所警備のものですが。
転送装置の盗難事件のことでお聞きしたいことが。


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なるほど、装置が盗まれて、
ウェルズに容疑がかかっているのね。
でも、それはブラウンという別人です。
基本的に管理局の職員は訪問した世界に
関与することはありません。まして盗難など。

私たちが知った情報から推理すると、
彼はたぶんその転送装置を修理して、
別の装置に改造するつもりなんでしょう。
管理局に戻って対応を検討したいと思いますが。
とウェルズが言った。


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どうしますか。

お二人が嘘をついているとも思えないし、
管理局にも協力してもらって、
そのブラウンという人物を探すことにしましょう。

信用しちゃっていいんですか。
この人、監視カメラの写真の人物にそっくりですよ。

この町の事情を知らない
特殊部隊のあなたがそういうのも無理ないわね。
でもここは任せて。
とルビーが言った。



解説)
続きます。
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