Sep 26, 2023
仮想世界で そのよん
バーボンハウスの前では、
果実の収穫などが行われていた。
昆虫ロボットたちが、
近くの茂みから
トロの実を運んでいる。
随分便利になったわね。
と舞子が言っている。
このドラム缶何に使うんですか。
焚き火用。用心しないと
森林火災になるからね。
ビッグヘッドは、
無心に野葡萄を食べている。
バーボンハウスでは、
ツナが森での出来事を報告している。
そのミズハっていう樹木の精霊みたいな生命体は、
ちょうどレイチェルとドロレスが
過去の世界に戻っている時に出現したみたいで、
この世界には、他に生命体がいなかったと
思い込んでるみたい。
私もツナもミトラも舞子もいて、
他のロボットたちもいたでしょう。
とナディアが言った。
確かに私たちはいたけれど、
仮想現実体験装置のシステムが生み出したNPCだからね。
ミズハの考える生命体とは違ったのかもしれない。
それは変だよ。
私は実在するし、過去に生きていたマヤの娘だし。
ともかく、ミズハは、レイチェルが、
自分の後からこの世界にやってきた侵入者じゃないかと
疑っていて、そうじゃない証拠を見せろって言っていたの。
私たちに言わせれば、
ミズハこそ、あの怪物たちと同じような侵入者じゃない?
今のところ実害はないにせよ、勝手に森を増殖して、
この世界の環境を激変させている。
燃やしちゃおうか。
ナディアは過激だねー。
とドロレスが言った。
空にバリアを張ったり、
地形まで変える力を持ってるみたいだから、
相当手強い相手だよ。
困った時は、アンに相談。
これまでの事情を聞いたアンは、
残念ながら、と言った。
異世界からの侵入者のもたらす影響については、
怪物たちの時と同じように
私にはコントロールできないの。
システム外部の力であるドロレスや
レイチェルに協力してもらうしかない。
でも、そのミズハっていう存在は、
それほど悪いもののようには思えないんだけど。
それから朗報もあるわ。
ミューの装置の改良のおかげで、
私とミューは交信できるようになったんだけど、
ミューが、その回路をさらに改良しているところ。
もうすぐ直接このモニターから
過去の世界と交信できるようになるはずよ。
あと、今私はシステム環境の調整作業をして、
これ以上の森の増殖や地形の変動を
食い止めようとしているところ。
忙しくて、しばらく交信できなくなるかもしれない。
そうなっても心配しないでね。
それでは、幸運を。
解説)
続きます。
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