Sep 22, 2023
翌朝の続き そのさん
鷲尾翠は事務所に戻ろうと、
ペンギン前の空き地までやってきた。
はるなが箒を持って
掃除している。
あれ、もう落葉の時期だっけ。
そうじゃないんです。
最近夏の虫のなきがらが。
とリズが言った。
そうか。それはカメムシみたいだね。
時の巡りを感じるなあ。
ペンギンの二階の探偵事務所から
エリスが降りてきた。
エリスさんも衣替えしたんですね。
とはるなに言われている。
エリスさん。
仮想現実体験装置、
また稼働してるようですね。
調子はどうですか。
とバグが言った。
やっぱり管理局はお見通しなのね。
おかげさまでなんとか。
ミューが装置のAIのアンと
直接交信できる仕組みを開発したので、
仮想世界の様子が
ある程度把握できるようになったの。
仮想世界では植物が急速に生長して、
森林が増殖するっていう異変に見舞われていて、
時空の歪みのせいで、また何かが異世界から、
仮想世界にやってきたんじゃないかって、
アンもミューも考えている。
レイチェルとドロレスが向こうに行って、
その原因を調査中なの。
管理局に、そこまで
話しちゃっていいんですか?
と翠が言った。
うん。これはみんなに
了解をとってある。
管理局は直接介入はしてくれないけど、
アドバイスは可能なんでしょう。
異世界の間を移動して、
そういう異変を引き起こすような、
生命体、いわゆる「夢食い」に
心当たりはありますか?
そーねー。
それが「夢食い」だとすると、
かなり特殊な存在のようね。
せっかくの質問だから、
本部で少し調べてみるわ。
と、情報管理部のミラが言った。
探偵事務所では、
ミューがアンと交信していた。
装置の中に発芽していた植物を
除去してくれたおかげで、
通信回路が復旧したね。
そのせいなのか、
森林の増殖も止まって、
今は小康状態を保っているみたいだ。
二人は元気なの?
森がバーボンハウスの真近まで迫って
二人ともみんなと一緒に、
新しい環境への対応に追われている。
増殖の始まった場所を突き止めようと、
北の森に出かけたりして、
手がかりを探しているよ。
解説)
夏になると、毎年のように、
二階の小部屋のガラス窓に
カメムシが大量に飛来します。
今年はそうでもなかったのですが、
撮影した場所に
そのまま亡骸が落ちていたので、
記念に撮影しました。
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