Apr 27, 2023
メルティの夢の部屋 そのきゅう
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部屋の隅に戻った一行は、
あれこれと話し合っている。
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私のような夢食いは、
夢を見た当人が目覚めた後も
心の中に固定観念のようにとどまって、
イメージを送り続けることができるのですが、
先ほどはそれどころではなかった。
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メルティのこの夢の世界は、
かなり特別なのだよ。
とシュレディンガーが言った。
彼女は子供の頃からの病気で
ずっと眠り続けていて、
ずっとこの夢の中の部屋の世界にいるんだ。
けれど高い壁に囲まれたこの部屋から、
いつか外に出たいと願っていて、
魔術師ハリーとの出会いによって、
その願いが叶った。
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今ではね。
ハリーさんたちの住む世界と、
魔法の扉を通して、
行き来できるようになってるの。
でも、その世界から
私が絵画を持ち込んじゃったために、
芸術家の夢に宿る夢食いである、
あなたを招き寄せちゃったのね。
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ふむ。
お嬢さんのパワーには驚ろかされたが、
別の世界とも繋がっていたとは、
それでは私にコントロールできるわけがないな。
私のような夢魔にとっては、何より、
夢見るものが孤独であることが肝心なんだ。
それに魔術師ハリーの名は聞いたことがある。
魔術劇場の主宰者だろう。
彼なら魔法の扉を作ることもできるだろうな。
あそこを飛んでいるのは、
悪魔のしもべと言われるコウモリのようだが、
もしかして、その異世界から?
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そうそう。
ひそこは、派遣コウモリだよ。
なんと、その世界には
魔族の他に、悪魔もいるのか。
悪魔だけじゃない。
すぐ近くに迷いの森があって、
管理局にも隣接している。
とシュレディンガーが言った。
私はメルティが子供の頃に
飼っていた子猫の精霊に導かれて、
この夢の世界にやってきたんだが、
早々に管理局の局長に
見つかってしまったんだ。
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悪魔の他にあの天使もいるのか。
それはさぞかしシュールな世界だろうなあ。
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そうでもなくて、見かけは、
ごく普通の人たちが暮らす普通の世界よ。
でも夢食いのドラゴンがすでに住んでいるし、
奇妙なところも随分あるから、楽しいの。
私、この絵画を、
あちらの世界に返すことにする。
このままだと、またあなたみたいな
夢食いを招き寄せるかもしれないから。
![a9](/~shimirin/blog/kirita/entries//20230427202123.files/a9.jpg)
お嬢さん。それは賢明なアイデアですな。
管理局の注意勧告ではないが、
美術品の異世界への持ち込みは、
とかく誤解を生じます。
私も固まっているところを助けていただいた感謝と、
先住者である百猫の王シュレディンガーに
敬意を評して、退散することにしましょう。
これからどうするの?
とりあえず、その世界を訪問して、
芸術の才能のありそうな人を探すことにします。
さらに迷いの森までたどりつければ、そこから、
さまざまな異世界に移動することもできますから。
解説)
メルティの夢の部屋でのハプニングも
どうやら一段落したようです。
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