Mar 13, 2023
ロボットの記憶

私がロボット研究所に招かれて
研究開発チームに参加したのは2015年から。
研究所は今の場所に移転して、
所長もバトラー博士に代わって、
助手はレイチェルが務めていた。
私が初めて手がけたのは、
人型作業用ロボットの頭部デザインだった。

でもそのロボットは、
設計ミスがあったために暴走して
特殊部隊とCGたちが出動して
破壊されてしまったの。

そのロボットの頭部が、
ドルフィンの倉庫に残っているのを、
アンが見つけて、僕を作ったんですね。

その時壊れたボディパーツも、
ドルフィンの倉庫に保管されていたのを、
あとでサラさんが見つけて組み立てて、
頭蓋骨のお父さんの外出用に使っているから、
ロボットの破壊は無駄ではなかった。
不思議な巡り合わせね。

その後のことは
あなたも知っているんじゃない?
私はロボット開発に関する意見の相違で、
バトラー博士と対立して結局研究所を辞めたけど、
彼らは最新鋭の認識回路KSシステムを組み込んだ
作業用ロボット、アンを開発して、
行動実験のためにベーカリーに貸し出した。
アンは自分のコピーとしてあなたを作って、
その時、記憶回路も全てコピーしたから、
あなたは全て覚えているでしょう。
うん。僕はアンの記憶を引き継いでいますから。
アンは間違えて夢見の水を飲んだおかげで、
KS認識回路が覚醒してしまったんだ。
その新しい能力を研究所に知られるのを防ぐために、
アンはあなたと協力して僕を作り上げて、
全てを僕にコピーして抜け殻みたいになっちゃった。
それもアンが計画したことだけど。

ドロレスから聞いて知ってると思うけど、
路線対立が原因でロボット研究所を辞めた私は、
ジルさんから資金援助を受けて、研究施設を設立したの。
でも、人型ロボットのドロレスを開発中に、
研究施設で謎の爆発事故が起きて、
ドロレスは行方不明になってしまった。
それで、私はドロレスを探して欲しいって、
この探偵事務所を訪ねたのよ。
ドロレスがもしどこかで無事でいるなら、
きっとアンの噂を聞いてこの町に来るはずだって、
確信してたから。

私はあの時必死で仲間を探していた。
爆破事故の捜索で軍やCGにも追われていたし、
私たちロボットをコントロールしようとする
人間たちとは共存できないと思っていたの。
でも私を作ってくれたシェリー博士は別。
それに探偵事務所の人たちに匿ってもらって、
仲良くなれて今では感謝しています。
あとね。それまで人間は敵だと思っていたけれど、
この町で暮らしているのが、
人間ばかりじゃないことにも気がついたの。

その時、クロたちがやってきた。
今日はブルマンデーですよね。
コーヒー飲みたいんですけど、
席空いてますか。
と言っている。

それは言えてるわね。
とシェリー博士は言った。
解説)
今回はロボットの画像の再掲です。
2015年6月7日「ロボットの始動」
2015年6月13日「ロボットの暴走」
2022年2月24日「春をまつロボット」
よりピックアップ。
ロボット研究所でアンが作られて、
ベーカリーに貸し出されてからの経緯は、
2022年2月24日「春をまつロボット」から、
ミューが作られてアンが今の状態に落ち着く、
2022年5月11日「5月の晴れた日」までに、
おおよそ描かれています。
しかしその間に狐の精霊の姉妹の話や、
魔術劇場のハリーの話が、
並行して進行しているので
断続的な連載になっています。
Edit this entry...
wikieditish message: Ready to edit this entry.
A quick preview will be rendered here when you click "Preview" button.