Oct 22, 2021
カップルと母子像
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マンスフィールドさん。
モディリアーニって、いつも
一人の人しか描かなかったんですか。
ほぼ、そうみたいだけど、
例外的にカップルや
母子像を描いた作品も残ってるの。
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「夫婦」(1915)
「この作品はさまざまな理由で
興味深いが、まず挙げられるのは、
モディリアニ独自の技法が見られること
である。ここでは、絵具は顔立ちと
輪郭を示すために用いられ、
顔の青白い色はカンヴァス地の
白色だけで表現されている。
、、、夫は目立たないところに
描かれており夫人の後方で
ほとんど識別できないほどである。
緑色の絵具がまるで小枝のように
厚く塗り重ねられ、彼の顔立ちを
ほとんど完全に隠してしまっている。」
(「モディリアーニ展」カタログ作品解説p98)
たしかに。
全然わかんないよ。
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「新郎と新婦」(1915)
第一次大戦下のモンパルナスでも、
「、、、いくつかの秘密のカフェや
クラブには兵役を免除された
フランス人や外国人がたむろしていた。
この作品はこうしたカフェかクラブで
描かれたものであろう。
様式化された技法が男性の尊大な
態度や女性の野卑な感じを強めている。
男性の右目の瞳は描かれていない。
歓楽の果ての疲れた表情の男女に
「新郎と新婦」という作品題名をつけたのは、
画家のアイロニーだろう。」
(「アサヒグラフ別冊モディリアーニ」作品解説p87)
「二人は夜会服に身をつつみ、
その赤らんだ顔は、強烈な白い照明に
よって肉づけられている。そして
二人の眼差しはこわばり、うつろであるが、
おそらく見る影もないほどに泥酔して
いるためであろう。鼻の描写は不合理なほど
であるが、とくに男性の鼻は二つの視点から
観察されたイメージが一つになっており、
その結果、彼の顔は二つに切断されたものが、
やや性急にくっつけられたかのように見える。
こうした処理は、キュビスムの手法を
用いたというよりは、歓楽を尽くした
カップルの様子を皮肉まじりに巧みに
表現するためにとられたものであろう。」
(キャロル・マン「アメデオ・モディリアーニ」p171)
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「彫刻家プリッツ夫妻」(1916−1917)
「油彩はたった一日でできあがったが、
その前に約2週間ほど、恐るべき
スピードで彼はデッサンによる習作を
行ったという。、、、
デッサンの線は、完成作とほとんど
違わない。」
(「モディリアニ展」カタログ作品解説より)
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「ジャック・リプリッツとその妻」(1917)
これが、完成した肖像画だね。
リプリッツ氏が、ベルダさんと結婚して、
その記念にモディリアーニに肖像画を
依頼した。ということが氏の回想録から
わかるらしい。
「制作料は「十フランと少量のアルコール」
を要求しただけだった。」
(「アサヒグラフ別冊モディリアーニ」作品解説p87)
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「二人の少女」(1918)
南仏で描かれた作品でしょうね。
母子像みたいにも見えるけど。
このタイトルは英語の「Two girls」を
直訳してみたものなんだけれど、
黒い服を着た女性だけの肖像画もあって、
そちらのタイトルにも少女、ってあるから、
たぶん少女。
そうなんだ。
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「子供とジプシー女」(1918)
「黒い髪と特徴ある髪の結い方が
彼女の出身民俗をしのばせるところから、
そう呼ばれているらしい。同じモデルで、
上半身だけを描いた作品がある。
子供を抱く母親の姿はモディリアーニには
珍しい。」
(「アサヒグラフ別冊モディリアーニ」作品解説p93)
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「母性」(1919)
「、、、母親の質素な身なりもあってか、
かっては「幼子を抱いた花売り娘」
というタイトルで世に知られていた。
したがって、モデルをしめさない
現在のタイトルは、モディリアーニ自身が
つけたものではないだろう。
今日では、この母子像は、
画家の妻と娘を描いたものと
考えられている。」
(島本英明「もっと知りたいモディリアーニ」p70)
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「母性」(1919)
色合いがかなり違う画像があったので、
比較のため掲載してみました。
どっちが実物に近いんだろう。
解説)
今回は、複数の人物を描いた作品を
選んでみました。
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