Dec 06, 2007
鏡の国のアリスとオリーブ そのはち
第八章「わしの発明だ」
赤い鎧をまとった騎士が棍棒を振り回しながら、
オリーブにむかって突進してきて、
いったんは落馬したものの、また馬にまたがり、
「やい、わしのととりこだぞう!」と叫んだので、
オリーブは驚きました。
「今度は白の騎士です。
アリスのわきに馬をとめると、これまた赤の騎士同様、
馬から転げ落ちて、それからまた馬にまたがると、
二人の騎士がしばし物もいわずにじっとにらみあっています。
アリスはおろおろして二人をかわるがわるみつめました。」
オリーブは、一騎打ちの末に赤の騎士を追い払ってくれた、
白の騎士が兜をぬぐのを手伝いました。
「騎士はぼさぼさの髪を両手でうしろになでつけながら、
なごやかな顔をして大きなやさしい目をアリスにむけました。
アリスはアリスで、こんなへんてこなかっこうをした兵隊さんなんて、
生まれてはじめてだと思いました。」
白い騎士は乗馬が上手とはとても思えませんでした。
「馬がたちどまるたびに、きまって騎士は前におっこちるし、
また馬があるきだせば、こんどはきっと後ろにおっこちます。」
小川のそばまで送ってくれた白い騎士と別れたオリーブは、
これで、最後の小川だとわくわくしながら、
「とうとう8マス目!」と大声をあげて、
ぴょんと、とびこしました。
「「ああ、ここまでこれてよかった。
あれえ、頭になにかのっかってる?」
アリスはびっくりしたように、
そういいながら両手をあげてさわってみると、
なんだかすごく重たいものが、頭にしっかりとはまっていました。」
「なんと、それは金の王冠でした。」
つづく
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