May 27, 2025

二人の旅路

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シーラは視界の聞かない
砂塵の中に進んでいった。


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砂煙を抜けると、
なんと手作りらしい砂丘の洞窟の前で、
ローゴスが一人で砂遊びをしていた。

ローゴス!
とシーラが声をかけている。


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誰だお前は。
おや、覗き屋のシーラじゃないか。
お前は時々俺が入り込んだ夢の中に、
俺の戦いぶりを見にきているだろう。

覗き屋だなんて人聞きの悪い。
私は戦いを見るのが好きなだけ。
そう言う生まれつきなの。
恐竜がうようよいるというこの夢の世界に、
あなたが出かけたという噂を聞いて、
わざわざ追いかけてきてあげたのよ。
あなたの戦いぶりが見たくて。

俺もそう言う噂を聞いてきたんだが、
恐竜がいるなんて噂だけだと、
アイスという奴が言ってたぞ。
ここには砂漠しかないって。

それは嘘よ。
あなたを、ここから立ち去らせるためのでまかせ。
西にはサバンナも森林もある。
確かに恐竜は今はいないけど、
みすずという先住の夢食いが、恐竜は、
南の別世界に移動しているって言ってたわ。


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なんだと。
やはり噂は本当だったのか。
それに南に別世界があるだと?

私はまだ行ったことがないけど、
南の世界に抜けられる岩の門があるらしい。
恐竜たちはそこを通っていったのよ。

それってすごいチャンスだと思わない?
そこがどんな世界か知らないけど、
あなたがもしこの夢の世界を支配して、
南の世界も支配できれば、
同時に二つの異なる世界の覇者になれるわ。
そんな夢食いは他に知らない。

そうかそうか。

でも本当は私は、
そんな未来に興味があるわけじゃないのよ。
単純に、あなたと恐竜の戦いが見たいの。
どうせあなたが勝つでしょうけど。

ふむ。
そうか、そんなに見たいか。
だったらその南の世界に案内してくれれば、
恐竜と戦ってやるよ。


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二人はとりあえず西に向かった。

お前に言われるまで、すっかりアイスに騙されて、
この世界が砂漠ばかりだと思っていたよ。
暇すぎて、そろそろ、
この夢から抜けようと思っていたところだった。

それにしては
随分楽しそうに砂遊びしてたわね。

あれはいくら山を作っても
崩れちゃうから面白いんだ。

その時、
西に向かう二人の姿を、
砂丘の上からディアナが見ていた。


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それにしても遠いじゃないか。
サバンナなんて本当にあるのか。

あるのよ。
私も越えてきたんだから。
もう手下がいないのはわかるけど、
虫とかトカゲとかに
暗示をかけて動かすようにできないの?

暗示をかけたたくても、
砂漠には何もいないんだ。
いるじゃない?
あそこ。

おお。


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二匹のサソリが暗示をかけられて
二人についてきた。

やっとサバンナに着いたわ。


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恐竜はさっぱりいないじゃないか。
だから南にいるって言ったでしょ。
南の方角に行って透明な壁に突き当たったら、
その壁に沿って進んで、
入り口になっていそうな洞窟を探すのよ。
その先に岩の門があるはず。

二匹のサソリは、
サバンナオオトカゲに
見つかってしまった。
残念ながら食べられてしまうようだ。


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やがて二人は見つけた洞窟を抜けて、
南の世界に侵入した。

こっちはもう夢の中じゃないようだな。
こっちで死ぬと夢食いはどうなるんだ?
同じことじゃない?
運命はそう簡単に変えられないのよ。



解説)
続きます。
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