Oct 26, 2024

もうすぐハロウィーン そのさん

a1

夜が更けても、
サラたちの会話は続いていた。

モモコさんのコスプレはリアルで、
とてもよく似合ってるわ。
遙かな昔、高原の庭園や花園で、
よく遊んだ妖精たちを思い出しちゃった。
今はみんな滅んでしまったのかもしれないけど。
とフミコが言った。


a2

小人族のジェーンみたいに、
きっとどこかでひっそり暮らしているわよ。
でも私も本物は見たことがないの。
この扮装は童話や妖精写真のイメージから
想像して組み合わせたのよ。
服はドルフィンの倉庫で見つけて、
羽根は塩ビのシートの切り抜きだし。


a3

フミコは立ち上がって
モモコに向かって、そこに立ってみて。
と言った。
モモコが立ち上がると、
フミコは呪文を唱えた。
すると、薄い煙が立ち上ったが、
とくに何も起きなかった。


a4

今、あなたの羽根に呪文をかけたの。
これからは空が飛べるわよ。
とフミコは言った。

いいなあ、私にも何か。
とメアリー・ケイトが言った。
いいわよ。何がお望み?

私、歌が上手になりたいな。


a5

翌日も、広場は朝から賑わっていた。


a6

ケントさんは?
フラハと一緒に出かけたわよ。
アフリカに行くとか言ってたけど、
ハロウィーンには戻るって。
双子の兄弟の200年ぶりの再会だから、
積もる話もあるんでしょうね。
だけどケントさんが魔族だとは意外だったわ。
案外、そういう隠れ魔族の人って居るのかもね。


a7

鈴木すずは、
ゾンビ顔の青年を見て、
ドビーの足にしがみついて泣いている。

怖いよ怖いよ。


a8

でもさ。犬の顔をした人の方が、
怖くない?
と池谷圭に言われている。


a9

ドルフィンの二階では、
駒井今子が箪笥の鏡を覗き込んでいた。

この狐のお面どうしたの?
小力貴理子から借りたのよ。
懐かしいお名前ね。
彼女って造形作家だったっけ。
そうよ。そのお面は貴理子の作品。
私が宿ったこともある思い出の品なの。


a91

今年のハロウィーンには、
白狐のコスプレで参加するの。
白い服着て、お面をかぶるだけだけど。


a92

不気味に可愛いでしょう。
う。まあ、ハロウィンぽいわね。

今年はね。
お姉さんも参加するって言ってた。
あら、魔子さんも。
2年ぶりね。また能面の小面かしら。
今年は動物顔の人が多いから、
自分も素顔で参加するって言ってたよ。
素顔って。。。



解説)
続きます。

小力貴理子と狐のお面にまつわる話は、
2022年1月17日「ふつうの日曜日 そのに」
から始まります。
この狐のお面がとりもつ縁で、やがて
人間に化けた駒井魔子はドルフィンの二階に
暮らすことになったのでした。
その顛末は、2022年2月末頃まで、
飛び飛びに描かれています。
妹の今子が一緒に暮らすようになるのは、
2022年4月5日「花散る春の日」から。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
WriteBacks
TrackBack ping me at
http://haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20241026202258.trackback
Post a comment

writeback message: Ready to post a comment.