Sep 28, 2024
山に行く そのろく
こんにちわ。
僕はカエル王子。
安住の地を求めて旅をしています。
この池に住んでみてもいいですか。
とカエルは言った。
いいわよ。
どうぞご自由に。
君はもしかして、
今年の春に、メルティの夢の中で
洪水騒ぎを起こしたヘクトンの息子ではないかね。
とハリーが言った。
あ、そうですが。
妹さんのカエル王女が探していたわよ。
とアイスが言った。
そ、そうなんですか。
それで、妹は。
町の高台の休憩所にある、
水盤に住み着いているみたい。
今度、あなたのこと話しておいてあげる。
あ、ありがとうございます。
驚いたわ。
いつも人の心に浮かぶイメージを読み取って、
この世界に投影してるけど、
逆に自分の記憶のイメージが投影されるのは初めて。
なんだか不思議な気分ね。
とフミコが言った。
この広場のこと思い出した?
とアイスが言った。
ええ。おかげでかなり
鮮やかに思い出したわ。
アイスはジャングルの方に歩いていくと、
呪文を唱え始めた。
すると、
樹木に絡んでいた蔓が、
くるくる回って円を描いた。
アイスはその円の中を跨いで、
向こう側に行って振り向いた。
フミコ、こっちよ。
皆さんも。
一同がフミコの後に続くと、
そこは広場の過去の情景のようだった。
綺麗に整備された庭園が見える。
そうそう、
こんな感じだった。
花が咲いてるよ。
みんな薬草みたいだ。
あれは発着場の目印よ。
どんな人が来てたんですか。
大抵はレプテュリアンね。
ほかには彼らが連れてくる観光客とか。
あれは天文台。
もっと昔は神殿の一部だったの。
ご先祖様は偉大だったのね。
誰もいないのが不思議。
とヴィヴィアンが言っている。
一行は蔦でできた入り口まで戻ってきた。
ありがとうアイス。
おかげで忘れかけていた記憶の旅を
楽しめたわ。
呪文が心に浮かんだだけなのよ。
きっとこの広場の遺跡が私たちを招いたんだわ。
とアイスは言った。
解説)
続きます。
ハリーの言った洪水騒ぎの話は、
2024年5月2日「メルティの世界で」
から始まっています。
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