Jul 12, 2024
蘇生の呪術

佳奈がお土産のバナナを
知り合いに配りにいったあと、
二階のデジャから肉まんを食べに
ヴィヴィアンが降りてきた。
おや、アイス。
しばらくぶりね。
休暇で旅行にいってたんだって?
と言っている。

アイスは、
実はあなたに頼みたいことがあるんだけど。
と言って、かいつまんで、
ヴィヴィアンに旅先でのいきさつを説明した。
ふーん。アイスの直々のご指名とあれば、
断るわけにいかないわね。

アイスはヴィヴィアンにカメ新聞を
手渡した。
この呪文、魔法の書に載っているのと
微妙に違うわね。
古代の魔族はこんなふうに唱えていたんだ。
できそう?
微妙な違いだからすぐ暗記できるよ。
でも死者の頭蓋骨の蘇生はやったことがない。
自然の摂理に反する呪法で、
蘇る途中で失敗すると恐ろしいことが起きるから、
滅多なことで使うなって、
ハリーに釘を刺されてるのよ。

でもやっちゃうけど。
というと、
ヴィヴィアンは両手をかざして
呪文を唱え始めた。

あたりに薄い煙がたちのぼり。
しかし頭蓋骨は小刻みに震えただけで、
何も起きなかった。

こうなったら、本気を出すわ。
そういうとヴィヴィアンは
本来の悪魔の姿に変身した。
呪文を唱え指先に思念を集中している。

ヴィヴィアンの目がひときわ輝いている。

すると、頭蓋骨の輪郭が薄らぎ、
薄い煙の中から女性が現れた。

あなたが蘇らせてくれたのね。
どうもありがとう。
わたしはフミコ。
とその女性は言った。

どういたしまして。
お礼ならそこにいるアイスに言って。
私は頼まれてお手伝いしただけなの。
だけどエネルギー使いすぎて、
流石にもうフラフラよ。
とヴィヴィアンは言った。

アイス。あなたのことは知ってるわ。
あなたも蘇生の呪文を唱えてくれたでしょう。
その時は、あなたたちのいうグリーンマンを
呼び出すためだったけど、
あの時私の意識は目覚めかけていたの。
私呪力や魔力なんて全然ないのよ。
無心の境地は似たようなものなのよ。
だから私はあなたにも呪力を授けられるわ。
グリーンマンにそうしたようにね。

あら、あなたって変幻自在なのね。
そうか。あなたも当然魔族なのね。
でもそんな変身ができるっていうことは。
私は魔族というか、
魔族とヴァンパイアのハイブリッドで生まれて、
それからなぜか悪魔になったのよ。
ヴィヴィアンっていうの。
パワーを使い切ったみたいだし、
普段はこの姿の方が楽だから。
そうだ。父にも紹介したいから、
すぐそこの魔術劇場に来ない?
父は純正魔族だし、あなた方の子孫かもしれない。
喜んで伺うわ。
解説)
続きます。
WriteBacks
http://haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20240712202645.trackback
writeback message: Ready to post a comment.