Sep 10, 2023
仮想世界再訪 そのご
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記録装置を調べるために、
ツナとレイチェルは倉庫の奥に向かっていた。
この倉庫は高性能の防御シールドによって、
外部の侵入から守られているはずで、
記録装置の内部に植物が発芽するなんて
考えにくいんだけど。
とツナが言っている。
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この巨大なペットボトルみたいなタンクは何?
よくそんなダイレクトな例えを思いつくわね。
これは井戸から濾過装置で汲み上げた地下水。
記録装置もアンドロイドやロボットたちのように、
水をエネルギー源として使ってるの。
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正面に見えるのが記録装置の一部よ。
最終戦争の時にこの一帯は破壊し尽くされたんだけれど、
防御バリアに守られてこの倉庫だけは残っていた。
ここに思い出の酒場バーボンハウスを再建して、
私たちが住むことにしたのも、何かあった時に、
この倉庫がシェルター代わりになるからなの。
どこから調べればいいのかなあ。
手前に置いてあるのは、生命維持装置ね。
このシートの上でエネルギーを補充しているんだ。
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防御バリアに異常はないよ。
というツナの声がする。
これも維持装置。
植物栽培用のケースがここにも置いてある。
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あれ、あそこ。
ケースの端の部分が微妙に壊れているよ。
植物が急生長して、ケースを壊したみたい。
それに後ろの壁のパネルが微妙に撓んでいる。
パネルを通して、うっすらと葉影のようなものが。
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二人が栽培用ケースを移動して、
壁のパネルを外してみると、
なんと植物が芽を吹いていた。
破損した栽培用ケースから種子がこぼれて
発芽したんだよ。
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レイチェルたちがさらに壁のパネルを外して、
内部を調べたところ、
配線部分に絡んでいた一塊の植物を見つけて
取り除くことができた。
結構根を伸ばしていたから、
作業は大変だったけど、これで完璧だね。
これ野菜でしょ。
食べられるの?
たぶん。
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そのとき、維持装置が起動して、
ツナ、レイチェル、ありがとう。
という嬉しそうなアンの声が聞こえた。
解説)
とりあえず交信障害の問題は、
一件落着したようでした。
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