Jun 22, 2023
ドロレスの夢 そのに
ロボットの発する
ピポピポという音に反応して、
蛇はそそくさと退散していった。
危ないところでした。
あの蛇ナーガラに噛まれると
三日三晩もがき苦しんだ末に
死んでしまうところでしたよ。
とロボットは言った。
あ、助けてくれたのね。
でも私なら大丈夫。
私はロボットだから、
噛まれても平気なのよ。
え、そんなはずありませんよ。
ナーガラはロボットは襲いませんし、
あなたには生体反応があります。
あなたは人間です。
そ、そうなの?
そーだそーだ人間だ。
とロボット犬が言った。
最近、ナーガラが増えて困っているんです。
蛇を駆除するひそこ型ロボットのヒゾッコが、
片方の翼をなくしてしまって。
おや、そこにある
翼はヒゾッコのものではないですか。
あ、そうなの?
そこに落ちていたのを見つけたの。
それより、ここはどこなの?
あなたたちは誰?
そう言いながら、ドロレスは、
また視界がモノトーンになったのを
感じていた。
私の名前はバンク76号です。
バンクと呼んでください。
この二匹のロボット犬はソーダとドーダと言います。
ソーダは「そーだ」と言った。
ドーダは「どーだ」と言った。
あ、私はドロレス。
よろしくね。
ドロレスは、
視界がカラーに戻ったのを感じたが、
会話している間、
世界の動きが止まっているようにも感じた。
ヒゾッコの翼を、
見つけていただいたので、
すぐに修理にかかれます。
このあたりはナーガラが多いので危険です。
私たちについてきてください。
ドロレスはついていくことにした。
するとドーダが背中に乗せてくれた。
井戸の上に壊れた機械のようなものが
置かれていて、時々体を震わせている。
ドロレスがドーダから降りると、
ドーダは、「乗り心地はどーだ」と言った。
良かったわよ。とドロレスが言うと、
ソーダが「そうだそーだ」と言った。
二人ともダジャレが好きなようだ。
これって、生きてるの?
ヒゾッコは、片方の翼を失くして、
嘆き悲しんでいるのです。
この翼をつければいいのね。
瞬間接着剤持ってる?
ドロレスは、瞬間接着剤を借りて、
ヒゾッコの体を
井戸の側におろしてもらい、
折れた跡のある接合部分に
手早く接着剤をつけて、
井戸の側面により添わすように、
微妙に角度を調整して固定すると、
嘆きたくなっても、体を震わさないで
じっとしていてね。
とヒゾッコに言った。
すごいですね。
そんな器用なことができるのは、
ツナさんと同じだ。
ドロレスはやはり人間ですよ。
とバンクが言った。
ずっと驚きを隠せない顔をしている。
ソーダはさっそく「そうだそーだ」と言っている。
ツナさんって、
この世界に他にも人間がいるのね。
それに、この井戸の中はどうなってるの?
とドロレスは覗き込んでいる。
その井戸は、
底なしと言われています。
ゴミを捨てるのにいいんですよ。
ドロレスは、
身を乗り出して覗き込んでいるうちに、
急に頭が重くなった気がして、
井戸の底に吸い込まれるように
落ちていってしまった。
解説)
エピソードの進行中に
フィギアの修理もしてしまうという、
随分安易な、
バーチャル世界だったようです。
WriteBacks
http://haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20230622202142.trackback
writeback message: Ready to post a comment.