May 31, 2023
春風に吹かれて そのなな

そのマスク、
顔全体が覆えて、
かっこいいですね。
とジェイソンが言った。

ああ、これは特別な素材で作られていて、
私のデスマスクから復元したものです。
なかなか男前でしょう。わはは。

ジェイソンやお父さんや
メメの本当の姿は、
この町ではほんの少数の人しか知らないの。
だから、船長も秘密にしてね。
とサラが言った。

誰か来ると驚くから、とサラが言い、
お父さんやメメはマスクをつけてもらった。
この不思議な生き物はなんというのです?
メメの外見は布を縫い合わせて被せてあるの。
もともと、メメは頭蓋骨しかなくて、
体はロボット研究所からもらった
廃棄されたロボット犬のパーツでできてる。
だからメメの生前の姿は不明なのよ。

しばらく歓談が続いていたが、
やがて船長はふと思いついたように、
袋の中から貝殻を取り出した。
歓待していただいたお礼に、
これを差し上げましょう。
この貝殻に耳を当てて目を閉じると、
潮騒の音が聞こえて、
やがて海原の世界に誘われます。
それって夢の世界?
ただの夢ではありません。
この世界と同じように、
ある意味、実在する世界なのです。

実はこの貝の力を借りて、
私は船員を集めようとしていたのですが、
ヴィヴィアンさんに10年早いと
たしなめられてしまい、
契約書は破棄しました。
契約書がないと、
魂を永遠にその世界に留めることはできない。
だから、もうこの貝は
ひとときの海の夢を見るための
悲しき玩具なんです。
友達が欲しかったのなら、
相手を縛る契約書なんて必要ないんじゃない。
最初からそのままでよかったのに。
今どき死霊の住む幽霊船の船員なんて、
誰も成り手がいないんですよ。
とキャップテン・クックドゥーは
ちょっと悲しげに言った。

その頃、マンゴー亭の前では、
トムが肉まんを頬張っていた。

うん、確かにジューシーでうまいなあ。

あの人だれ?
町の人じゃないわね。
すごくタイプかも。
などとジェーンとエルザが
噂している。

鈴木すずは友達を連れてきたようだ。
ここの肉まん美味しいんだよ。
と言っている。
解説)
あっという間に、
春風の季節も終わっていくようです。
すずの新しい友達は、
セリアの百円ボディを使っています。
WriteBacks
http://haizara.net/~shimirin/blog/kirita/blosxom.cgi/20230531202351.trackback
writeback message: Ready to post a comment.