Dec 30, 2022
メルティの部屋 そのさん
そのとき、
突然鏡の向こうから
男の人が現れた。
これはどうも。
白い帽子を探しているんですが、
見かけなかったでしょうか。
いえ。
あなた。どうやってここに。
男はよく覚えていないのだが、
荒野でなくした帽子を探し歩いていたら、
砂嵐に遭遇して、嵐が止んでから
別世界のようなところを歩いているうちに、
いつの間にかここにたどり着いたのだという。
そこはどんな世界なんです?
よく覚えていないんですが、
日差しが強くて風ばかり吹いている
ような所ですよ。
サラはなぜか不意に思い出したことがあって、
考え込んでいる。
その場所って、頭蓋骨のお父さんが
言っていた世界に似ているなあ。
男は白い帽子を探すのだと言って
去っていった。
鏡の扉の向こうには
サラたちは行くことができなかった。
仕方がないので
二人は最初の部屋の隅に戻ることにした。
メルティがコーヒーを運んできた。
サラが喫茶店でコーヒー豆を買って、
サラさんたちの部屋で、
ケイが美味しいコーヒー入れてくれたでしょ。
あの味が忘れられなくて。
ねえ。なに考えてるの?
さっきの人、どこから来たのかなあって。
壁の向こうでしょ。
壁の外の世界はやっぱりあったのよ。
そうとも限らないよ。
別の空間とつながったのかもしれない。
魔術劇場とつながってたみたいに?
うん。あれは魔法の扉だからね。
そうかー。
あの人いつか見た気がするんだけど。
マスクしてたね。
なんか大昔にテレビかなんかで。
だめだ。思い出せないわ。
解説)
年の瀬のせいか、
ハプニングのような
できごとが起きたようです。
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